ただ一人の、あの人の、ほんの少しの言葉で、私は涙を流す。私の人生の文脈によって、私は泣かざるをえない。この不随意な涙腺を、外してしまいたい。
でも、もう、そうすることは望まない。それでは、過去に逆戻り。泣かないことが強さじゃなく、何も感じないことが強さじゃない。泣いても、希望を見失わないことこそ、強くあるということだと、私は信じる。
こんなことを思いつつ、私の身体は立ち上がることを拒否している。頭で理想を説いても、身体が動かない。心の底から、信じていない証拠。
頭でっかちな私は、いつになったら、上辺だけの理想を吐くことを、やめられるだろう。