小さくて綺麗な世界に居た私。高校受験という関門を突破した先にあったのは、紛れもない腐った地獄だった。
毎日が辛い。入学式から「あ、私この子達に馴染めない」と思った。やっぱり、高校で出来た友人とは小さな諍いを起こした。それは、私のものさしの中では小さな小さな出来事だったのに、根に持った相手は私から色々なものを取り上げた。
私は自分も悪いと感じたので、謝った。目の前で。「不愉快だから話しかけないで」彼女はそんな私にそう放った(LINEで、友人を通じて)。いいですとも、一人でも大丈夫な私は、一人で毎日を過ごした。一番仲の良かった友人は、私の机に来なくなった。LINEや諍い相手がいない時には、私のそばに居た。趣味のことをいっぱい話せる私の事が好きだと、友人は言った。私、貴方の趣味に全く興味無いけれど。どこも共通していない趣味。
夏休みに入った。彼女には一切触れなかった。夏休みが終わった。彼女は自分から話しかけてくる様になった。どうやら、嫌われ者とつるんでしまった様で、毎日が辛いらしい。仲の良かった子は、私の机にしか来なくなった。
嫌われ者とつるんでしまった彼女は、毎日その嫌われ者とご飯を食べる。仲の「良かった」友人は、私のそばでよくわからない趣味の話を延々と話す。私の趣味を出すと、露骨に嫌そうに「そういうのわかんない。っていうかさ〜」ってなるから、私は相槌しか打たない。
私と彼女と友人、昔は仲が良かった。毎日一緒に居た。ばらばらになった三人。でも、これでもいいと思っていた。今日までは。
友人と一緒にご飯を食べて居た時、視界に映る彼女と嫌われ者。私はふと、隣の、仲が「良かった」友人(友人の表記「友人ちゃん」)に問いかけた。
「友人ちゃん、友人ちゃんは彼女と一緒にご飯食べなくていいの?」
「んー本当はね?彼女ちゃんが大好きだからあっちで食べたいんだけど、嫌われ者がいるから無理でさ、だからここにいるってわけ」
は?私は思考が停止した。それって、私の事道具として扱ってる訳じゃないか。ただの避難場所。私の家に泊まりにきた時も、自分が借りてきた、私の興味ない映画ばっかり見て。提案に乗り気だったからショッピング行ったのに、帰ってきた後、私の母親が「友人ちゃん、楽しかった?」って聞いたら、「いやぁ〜…」ってなんだよ。「また泊りにきたい」って言った理由が、「映画がたくさん見れるから」ってなんだよ。
「お前、私の事友人って思ってんの?」
って聞いたら
「うん!唯一趣味の話が出来る人!一番の友人」
だとさ。「私はお前の事友人と思ってねーよ」って答えたら、泣き出した。めんどいから午後の授業さぼって帰った。因みに高校は勉強大好き!な進学校なので、あとで大問題になることだろう。
もう一人でいーわ。
と、呟いた直後に電話のコールが鳴った。
私の事を聞いて、学校サボってわざわざ駆けつけてくれた中学の友人35人に、ありがとうと頭を下げる。ヤンキーやギャルもいれば、ガリ勉やヲタクもいて、でも皆嘘を付かない、小さな、綺麗な世界の住人。私はこの人たちと生きていこう。