濃い霧の中にいた。
気が付いた時、周りには誰もいなくなっていた。
自分すら見失っていた。
永久に降り積む雪に私は溺れかけていた。
道を間違え続けた旅であった。
このまま、消えてゆくのだろうか。
終わるだけの人生なのだろうか。
手を伸ばしてみても何も無い。
何も、無い。
冷たいだけの世界が広がっていた。
霧は全てを飲み込むように濃く、雪ば全てを覆うように降り続ける。
待つのは、死。
死だけが待っている。
分かりきっている事だった。
終わる日は、眠るように終わりたい。
この身体を捨てて、ただ眠っていたい。
どうして生まれてしまったんだろう。
無意味だと思った。