貴方のことが好きです。
初めて会ったのは受験の日で、面接の待合室で貴方が隣に座っていましたね。
貴方は覚えていなかったけれど、私は何故だか貴方の事が強く印象に残っていました。
そうして次に接点を持ったのは、クラス誌の編集作業で、私が編集委員長になった時でしたね。
編集委員であるはずの貴方から、中々進捗報告がされないことに、一人で勝手な正義感を振りかざして頭にきたことを覚えています。
今思えば、本当に馬鹿らしい話です。
それから暫く間をあけて、次に接点が持てたのは、クラスで文化祭に劇をする時でしたね。
正直、役どころに不満があった私は本番間近になるまで中々モチベーションが上がらずにいました。
けれど、舞台にたって演技をする貴方が、スポットライトの中誰よりも一際輝いて見えたことを、鮮明に覚えています。
飛び抜けて上手かったわけではないけれど、それでも役に対してひたむきで一生懸命な貴方をみて、私も頑張れるような気がしました。
本番当日、私の握手に快く応じてくれたあなたの笑顔が今でも胸に焼き付いていて離れません。
授業の時、私がバタバタしてしまった時に貴方がかけてくれた「どうした?大丈夫?」という言葉、本当に嬉しかった。
貴方が留学してしまうと聞いた時、「おめでとう」って言えなくて、ごめんなさい。
自分の身勝手な感情で、「行ってしまうの」って、そんな変なことを言って困らせてしまいましたね。
親しいわけでもないのに、どうしてそんな事を言ってしまったんだろう、今でも後悔しています。
貴方が留学してしまうのは、来年。
仲良くなりたくて、でも時間がなくて。
貴方はとても魅力的な人だから、きっと留学先で恋人ができるかも知れません。
そう考えた時に、私は驚くほど辛い気持ちを味わいました。
胸が締め付けられて、時折そのことを考えては歩けなくなってその場にうずくまったり。
今までにも何度か恋はしました。辛い結末も多かったけれど、どれも楽しくて幸せを感じられるような恋でした。
だから、こんな風に最初から最後まで辛い気持ちの恋は初めてなんです。
こんなの、気持ち悪いですよね。
貴方にとって、私はきっとその他大勢の中の一人にしか過ぎなくて。でも私にとっては特別な人で……。
重い、って。分かっています。
貴方にとっては私のこんな思い、邪魔でしか無いって。
それでも、それでも私は、貴方のことが好きです。
好きになってしまって、ごめんなさい。