父親が救急車で運ばれた話。
俺は親父が嫌いだ。
同居はしてるが自分から話すことはほぼない。
いつも通り俺は在宅の仕事。
2階の自室でパソコンと向き合う。
親父は車のメンテをしていた。
母はスマホで動画見たりTVで韓流ドラマ見たりしてる。
いつもと変わらぬ日常だった。
昼休み時間に部屋でゴロゴロしてたら何か呻く声が聞こえる。
弟かと思ったがやつは今月から障碍者雇用で仕事行き始めたから昼はいないはず。
何事かと思ってたら親父の部屋のドアが空いてて、うめき声の主は親父だった。
何故か腹を押さえて苦しんでる。
『どうした?』
『み、水くれ』
俺はコップに水を汲んで持っていく。
次の一言
『タオル。』
『バスタオルで良いのか?』
バスタオルを取りに行くついでに一階でアニメ見てる母に言う。
『何か親父部屋で苦しんでるぞ?』
母はあまり気にきてない様子。
バスタオルを持っていく。
『タオル濡らしてきてくれ』
洗面台でタオルを濡らして絞って持ってく。
タオルを渡しながら聞く。
『どうした?救急車呼ぶ?』
『わかんねえ、急に(腹痛が)来た。手も痺れる。これ病気か?』
『取りあえず母さん呼んできてやる』
母は相変わらず一階でイヤホンしながらアニメ見てた。
『親父部屋で病気かもって言ってるぞ、見てきてやれ』
『なんだってー?さっきまで車いじってなかった?』
そういって母がめんどくさそうに部屋に向かう。
俺は母に任せておけば大丈夫だろうと自室で仕事に戻る。
数分後、やっぱり気になって様子を見に行くと母が救急車に電話してた。
母と一緒に救急車来るのまって救急隊員の応対をする。
なんやかんやで母が付添いで救急車に同乗。
俺はまだ午後の仕事があったし、自分が入院で有給使いきってたから
(早退して欠勤控除ついたらいくら引かれるかな、1万くらいか?それに俺が今ついてってもやることないしな)
等と考え
『仕事17時で終わるから、入院とかになったら仕事終わったら車で荷物もってくよ』
とだけ伝えた。
念のため社長には事情説明して、もしかしたら早退するかもしれないと相談したら、そういう事情なら付与日より早いけど有給付与しましょうか?と言ってくれた。
1時間後くらいに母から電話があり
『親父過呼吸だったんだって、原因は分からないけど今は容態は落ち着いたから、家族の人が迎えきたら帰れるって言われたんだけど迎えこれる?』
とのこと。
病院までは車でなら往復でも10分少々。
さすがにその為だけに有給使って午後半休にはしたくなかったので
『迎え行ったらそのまますぐ帰れる?行ってすぐ帰るだけなら大丈夫だけど、会計とかで30分とか待たされると困る』
と確認して迎えに行く。
とにかく俺は自分にとって精神的・物理的に釣り合わないコストは払いたくないのだ。
(この場合は送迎の為だけに貴重な有給は使いたくない)
でも仮に母がいつも出掛ける曜日と重なって、俺と親父以外居ない状況だったら、欠勤控除ついても付き添った気はする。
そんな俺は利己的なのか?
それとも優しいと言われる人間なのか?
多分これからも何かあるたびに『お金・コスト』のことを考えるだろうな。