君に献杯!
生きて添えない二人なら
旅に出ましょう 幻の
遅すぎた 恋だから
私あなたの腕の中
跳ねてはじけて鮎になる
この命ほしいなら
いつでも死んでみせますわ
若い日の美しい
私を抱いてほしかった……
こんな心情で、世捨て人になって現世を去ってしまったのだろうか…君は
炙りたての鮎、余熱の燗酒…
酒は呑めども虚しさつのり、何故か酔えぬ名残の夏の黄昏れどき
十年ひと昔と人は云うけれど
忘れ得ずして忘却を知る夜長月…
未だ吾にお呼びはかからねど
偲ぶれば
涙ながれやまずして
己の罪深きを問う
悪夢でも夢であってほしかった
あの時のこの日
永遠に君の傍には添えないのだから…
もう忘れてもいいかい…?
教えてよ!
答えてよ……
君知るや天竜の川辺にて
そぞろごと