大切にしていた猫が死んでしまった。
昨日の夜は普通に膝に乗ってゴロゴロ言っていて、独特な鳴き声の、へ、へ、と言った声で甘えていた5歳の可愛い男の子。
今年に入って23歳のおばあちゃん猫、男の子の猫、立て続けに失ってしまった。
家には他の子だっているけど、その子はその子しかいなくて、冷たくなった亡き骸を撫でてみても反応はなくて、どうしていいのか分からない。
へ、へ、と下手な鳴き声でもう一度鳴きながら近寄ってきてほしいな。
ごはんの時間には他の子のご飯をじっと見つめて嫌な顔をされてるのに気にせずみんなとなかよくしようとするあの顔がみたいな。
どこにいても、ぼっくん、と呼んだら小走りで寄ってきてくれる重たい君を抱っこしたいな。
戻れるなら昨日の夜に戻ってほしいな。
また次の出会いがあるよ、毛衣を変えてまたやって来るよ、泣いてたら虹の橋のたもとがずっと雨だよ、猫を失った悲しみは猫が癒してくれるよ、日にち薬だよ、
全部全部全部全部聞き飽きたなぁ。
もういっそのこと昨日の夜に戻れないなら、そっちに連れてって欲しいよ、
死んだら残された子はどうするの?わかってるよ、でも兄弟も親もいるから大丈夫。
親兄弟に同じ思いをさせるの?わかってるよ、でもつらいから逃げたいんだよ。
こんなにつらいなら、ぼっくんのつらいのを代わってあげられない弱い下僕なら、もういっそのこと消えてその自分で作り上げた誰も責めないよって言ってるような罪を全部引っさげて今つらいっていう現実から逃げて逃げて逃げて、消えてしまいたいよ。
ごめんね、ぼっくん。
世界でいちばんかわいい白い靴下の男の子。
鳴き声がへたっぴで甘えたさんな男の子。
だいすきだから、どうかぼっくんのところに連れてって。