私の好きな人は、同じ部活の女の子。毎日毎日辛いけど、でも大好きでたまらない、この気持ちをどこにも吐き出せない。
愛してる。大好き。低くて、やんちゃな男の子みたいな声。白い肌も、色素の薄い、肩の形に沿って落ちている髪も、手脚も、細い指も。寒がりで、いつも制服の上から着ているパーカーが、ちょっと大きくていつも袖が余ってるのも。乾燥しがちな唇を不愉快そうにずっと舐めて湿してるのも。甘いものが好きで、辛いものがダメなところ。クレープを食べながら、その話をしていたら、口いっぱいにクレープを頬張ったままスマホで「カレーは甘口に限る」って書いて見せてきたところ。困ってる人がいたらほっておけない性格。人を傷つけてるかもしれないのに平気な人を見ると、そういうの嫌いなんだよって怒って、なんとかしようと走るところ。優しくてかっこよくて、ノリがよくって、ツッコミが鋭いところ。歩き方も、話し方も、机に突っ伏して寝てるところも、あなたの姿の全て。好きなところなんて挙げ出したらキリがない。でも、一番好きなのは、ぶっちぎりで何よりも、笑顔。
あの子の尊すぎる笑顔、全人類に一度見て欲しい。目が細くなって、ちょっと困り眉になって、首を少し傾けて、ポニーテールが揺れる。本当、可愛い、たまらない。ずっと見てられる。ずっと見ていたい。ずっと笑っていて欲しい。あの子にはずっと幸せでいて欲しい。
最近の私はあの子が好きすぎて気持ち悪いって自覚してる。体育祭では、あの子が遠くでポンポンを持って踊ってる小さい姿をズームで撮って、しんどい時に見てる。毎朝早く学校にきて、自習室の、あの子が自分の教室に向かう途中必ず通る通路が、よく見える席に座って、自習しながら姿を探してる。一緒に帰りたいけど、電話するのは憚られるから、こっそり下駄箱を開けて、そしたらそこには上靴が入ってて、あもう帰っちゃったか、って落胆する。
疲れが溜まって突然、息を詰まらせて、呼吸がうまくできなくて泣きじゃくってしまったあの日、恐ろしい速さで水を買ってきてくれて、渡してくれて、飲める?ゆっくり。吸うより吐くを意識だよって、ずっとそばにいてくれた。その日は帰るまで、今日は1人にしておけないからって一緒にいてくれた。全部1人で抱え込んじゃだめ。なんでも話していいよ。聞く準備はできてるから。(私)はいつも人に、なんでも話聞くっていうけど、一番何にも言わないのは(私)の方だからねって、言ってくれた。私が本当にありがとう、ごめんねって言ったら、ちょっと黙ってから、掠れた声で、なんで謝んの、、って、その言葉をきいて、この子も私のこと大事に思ってくれてるんだって、知ってしまった。知ってしまったからしんどい。ごめんね。今日こんなになったのは、あなたがクラスメイトの女の子にハグを求められて、応えてあげてた姿を見ちゃったからなんだ。あなたが私だけじゃない、誰にでも優しい姿を見てると、苦しいの。そんなあなただから好きなのにも関わらず、矛盾だ。
どんなにあの子のことが好きでも、この気持ちを伝える訳にいかないし、伝えたところで、何かが進む訳じゃない。だって、もし百億分の一のことが起こって、付き合うことになったとしても、恋人になっていつか待ってるのは別れだから。だったら、一生続く可能性がある友情にかけたい。手に入れたいなんて気持ちよりも、失いたくない気持ちが圧倒的に勝つ。
同性愛とか、女の子が好きとか、この際もうどうでもいい。私は、あの子のことが好きなんです。あの子という存在を愛してる。
一秒でも長く一緒にいたい。できれば2人で。起きてから寝るまで、寝ても夢の中で、何をしててもずっとあの子のこと考えてる。
私はあなたのことを愛しているから、あなたのためならなんでもできるよ、あなたの幸せを誰よりも願ってるよ、心の底から大好きだよ。
そう伝えられたら、そしてそれをそのまま受け入れてもらえたら、どんなにいいだろうな。叶わない想いは諦めたい。つらい。