純粋に好きなだけならまだ良かった。あなたのこと大好きだよって胸を張って言えた。
だけど、言葉を伝えるだけでは物足りない自分がいる。手を取って抱きしめてそれ以上のこともしたい。
同性で、後輩で、信頼されていて。1番嫌な立ち位置にいるなって思う。自分の欲のために捨てるには勿体無い関係性。
たった1日貸しただけのセーターに顔をうずめるとほのかにかおってくる彼女の匂い。
1番落ち着くし、嗅ぐだけでクラクラして興奮する。
セーターを貸した瞬間は100%善意だった。なのに、返ってきた瞬間、着る前に、って思ってしまった自分がいた。
セーターを抱いて寝た翌日は恐ろしいほど目覚めが良くて。あの子が隣にいるんじゃないかって思ってしまった。
こんなことする先輩、軽蔑するでしょう。わかってる。
何でもないふりが恐ろしいほど上手くて良かった。
私は何もなかったことにして彼女の隣で笑うことができるから。