限りなく寂しさに近い感情。
私の書いた拙い小説を面白いと言って読んでくれた先輩、
ここで一夏だけ仲良くしてくれた人、
実はほんの少しだけ好きだった女の子、
私が随分昔に借りた本を覚えてくれていた司書の先生、
卒業してからもよく喋りに来てくれた小学生の時の友達、
死ぬほど心中吐露しても共倒れにならず引きもせず静かに話を聞き続けてくれた友人、
私の人生は黒歴史だらけで、脳裏をよぎるたびに死にたくなるような思い出が多いけれども、これらはどれも素敵な思い出だ。
それらを思い出すたび私はその瞬間、一瞬ずつを大切にしきれなかったのだと実感する。
ずっと、今もだけれど、私は特別な何かが欲しかった。
それに固執し続けて他のことは諦め続けて切り捨て続けて今がある。
マイナスばかりを切り取ってしまい人間に怯えすぎて今がある。
ただ真に特別だった瞬間はこういう素敵な思い出の中にあったのかもしれないと思い始めた。
人は大切に。
巷で流行している言葉の正体なんて、実感しなければ本当の意味では分からないのだと感じる。
私が元来欲しかった特別とは、どれのことだったのだろうか。
今となっちゃ分かんないね。