性的な話が嫌いな人は見ないで下さい。
加害者の話なんぞ聞きたくない人も見ないで下さい。
誰にも言わない、言えない。でもどんどん堪えきれなくなってるから書く。ごめんなさい。
小さい頃、母親がいなかった。誰だか知らないと親父は言った。だけど家にはいつも知らない女の人がいた。
親父と、知らない女の人が、何をしているかは当時知らなかった。
俺は、女の声がすると家を出た。街の中を歩いた。近所の仲間とたむろした。
煙草に喧嘩にカツアゲに、何でも見に行った。ついていったし、やった。
年上の兄さん達は、俺を可愛がってもくれたけれど、汚い言葉で嘲ったりもした。何を言われていたかは後から分かった。ここには書けない。
その言葉を一度親父に話してみた時、親父は「今度教えてやる」と笑った。それから酒を飲んで、気絶するまで俺を殴った。
ある日の夜、家に帰ると親父と知らない女の人がいた。女の人は泣いていた。服を着ていなかった。
親父は俺を見ると笑った。「見せてやるよ」
俺は、言われるままに、近づいて「触ってやれ」俺は、どこか夢を見ているような感覚だった。
最後まで、俺はそばにいて、この手で触れて、女の人を泣かせた。
小学校低学年、だったと思う。
小学校も中学校も、さぼってばかりだった。抜け出したり。だから勉強はできなかった。高校もまともに行かなかった。喧嘩だけは場数を踏んで強くなった。
仲間と連んで、他人をいたぶった。取り付かれたように、酷い嫌がらせをした。男にも女にも。
服を脱がして暴力を奮うとき、あの夜を思い出した。俺は負けたくなかった。相手はとうに屈服しているのに俺は許せなかった。やることは限度を超えていた。
周りはだんだん悪魔を見るような目で俺を見た。仲間も少しずつ離れていった。俺は誰のことも見ていなかった。
その頃には、親父にも暴力を奮うようになっていて、親父もさすがにキレて、寝ている間に刺されそうになったりした。ますます女が来るようになった。俺は帰らない日が増えた。
中学の時、街の兄さん達から呼び出された。いいもん見せてやると。
行くと女が泣かされていた。「知ってるだろ?」兄さん達は、いつものように、汚い言葉で俺を呼んだ。「お前ならできるさ」
そのとき突然、あの夜の光景が、そっくりそのまま蘇った。冷や汗をかいた。呼吸が重苦しくなった。
胸に沸き上がった憎しみを、目の前の女にぶつけた。親父に、兄さん達に、言われるままに、
ここから先はあまり覚えていない。
「さすがだな」ゲラゲラ笑う兄さん達と、あの夜と同じ手の感覚。
居たたまれなくなって、俺は逃げ出した。吐いた。
それから俺は、長い家出を繰り返した。ヤケになって、あまり人に言えない稼ぎ方をした。
高校を何とか無理やり卒業すると、家には帰らなかった。
今は親父とは縁を切っている。知り合いのいない土地で働きつつ、身体的な持病の治療をしている。
年とともに現実を自覚し、それが重くのしかかってくる。
分からないでやった自分、分かっていたのにやった自分。
この汚れきった手が 人を傷つけた手が 心が、こんなところに在ってもいいのか。
病に蝕まれるのを待つだけで、償いになる訳がないのに。もっと痛めばいいのに。苦しめばいい。息が詰まればいいのに。
毎日みる夢がつらすぎる。あの感触で目を覚ます。
もう返ってこない。やり直せないのに。
汚い。汚い。穢れた人。
どこにもいたらいけない。誰にも触れたらいけない。
生きて償うなら、どこに向かえばいいのか。
何もできないなら、神様、どうか、俺を殺して。
名前のない小瓶
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お返事が届いています
あのねのね
あなたを責めたりはしません。
父親を呪う言葉が書かれていないことに、あなたの心全てが物語られているような感じがしました。
こんなことしたって何もなりませんが、あなたが父親のせいにしない代わりに、私にあなたの父親のせいをさせてください。
あなたがしてきたことは到底許されないこと。
でも、あなたの父親がしたことは、あなた以上に許されないこと。
厳しいことを言うかもしれませんが、今がどんなに辛くても、神に願って死ぬことだけは決してしてはいけません。
あなたができる償いは、あなたのような境遇の子を安全な場所に導いて、「自分も他人も傷つかないような、幸せを受け入れられるような人生」を作る手助けをすることだと思います。
自身のためにも、悲しい加害者をこれ以上生まないためにも、どうか寿命が来るまでは生きてください
ななしさん
さみしいひとが、小瓶の中に、いっぱいいるね。
(バカにして、さげすんだ意味ではないよ)
唯一出来る、自分の、さみしい、のなかに、
あたたかいものを、死ぬ気で注ぐ覚悟があれば、
世界の見え方は、突然変わる。
秋は、やきいもが、おいしいぜ!
まいたん
ななしさん
そういう世界には一切かかわらず真面目に働いて、贅沢はせず異性とも必要以上に係わらず、一人でひっそり生きて最後は孤独死。
生きて償うならこんな感じじゃないかな。
・もう人を傷つけないこと。
・人並みに幸せにならないこと。
・過去を悔やんで苦しむこと。
私が被害者なら「死」以外で願うのはこの三つ。ひねくれるから。下手に心を入れ替えて善人ぶって他人に好かれて幸せな生活をする~なんて赦せない。
でも結局あなたの人生はあなたのものだし、決めるのはあなただ。過去は変えられない。一度死んで生まれ変わったつもりでこれからの人生を歩むのもアリだと思うよ。過去に蓋をして、人間関係も全て切って新しい土地でやり直す、とかね。
先に述べたのが「あなたは被害者であるが加害者であることに変わりは無い」という考えを元にした意見。今のが「あなたは加害者であるが被害者でもある」という考えを元にした意見。
ご参考までに
以下はまだお返事がない小瓶です。
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