わたしはもうひとりいる。
ひとりは元の人格。
泣き虫で臆病なわたし。
もうひとりは別の人格。
笑顔を絶やさず、気配りのできる誰か。
でも孤立した人格じゃなくて、
顔の仮面を付け替えてるような感じ。
わたしはいつも無気力で、
綺麗なものを綺麗だと思えない。
機械的に食事をとり、機械的に眠る。
嫌なことは怒りよりも悲しみに出るから、
いつも泣いてばかり。
もうひとりは穏やかで、
気配りのできる優しい人。
感情表現も豊かで、でも怒るとこは見たことがない。
人前に立った時に使う、『対応用』の人格。
二重人格とかじゃないんだ。
わたしの『いいところ』と『悪いところ』が
はっきり分別した感じ。
どちらもわたしだし、
会話をしたりとかそういうことはない。
だからか、もうひとりの行動を
客観的に外側から見てるような感覚がある。
誰もわたしを知らない。
なのに対等の『友人』だと、『家族』だと、
どうして言えるんですか?
あるとき不意に生まれたもうひとりが
全て模範解答で返すから、
勘違いしちゃうのかな。
でも、本当のわたしを
誰にも見せる気はないの。
だからこの感情は、わたしだけのもの。