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「憧れ」が反転した話。高校で同じ部活だったA。彼女は下界へ遊びに来た全能の天使のように思えた。燦然と輝く羽を

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本人には言えない、ちょっとした吐出し。長文失礼。

「憧れ」が反転した話。

高校で同じ部活だったA。
とにかく、初めて会った時から何か他の人とは違う異様な雰囲気を持っていた。
実際、彼女の家系は凄まじいものだった(いい意味で)。

流石にフェイク入れないとばれそうなのでところどころフェイク混ぜます。

中学のいじめ(クラス全員に無視・貴重品を隠される)を引きずり挙動不審な私にも分け隔てなく(本当に分け隔てなかったかは今思うと疑問だ)接してくれた彼女。嬉しかった。


学業成績も上々、運動神経抜群、性格もサッパリしていて、おまけに芸術方面にもマルチに強い。
彼女は下界へ遊びに来た全能の天使のように思えた。燦然と輝く羽を持った天使。

ただ、やっぱり下界の住人が天使にふれるのはおこがましいと(無意識に?)思った。
近づきたくなかった。
だからなのか、Aとの間には妙に距離があり、また私が距離を詰めていった部員も、Aではない人であった。

Aではない人と帰ることの多い私であったが、Aとも時折帰路を共にした。少し病んだ(過去形)話もした。
私は彼女に一段と強い好意を持つようになった。

そんな天使Aから、ある日お褒めの言葉を頂いた。
「あなたと居ると、癒される」
もう、驚きの一言でしか表せなかった。そんなこと、誰にも言われたことが無くて、私は部室で、感動のあまり泣いてしまった。ちょっと恥ずかしかった。
大好きな人に"Be"の肯定をされたことは、妙に嬉しかった。漠然とした「能力」への憧れが「個人」への崇拝に変わった瞬間だった。

天使は高校2年で部長となり、逞しく皆を引っ張るリーダーとして君臨した。
天使の言う事は(当時の基準では)抜け目がなく、彼女自身の気迫も相まって皆も納得してそれに従っていた。
自分にも、後輩ができた。こんな自分にもついてきてくれる後輩。嬉しかった。

天使は、相変わらず私を癒しキャラとしてみていた。私自身は、どこが癒しなのかサッパリわからんです。そんなにおしとやかじゃないしさ。

高校を卒業し、お別れ会のとき。
一生のサヨナラとでも言わんばかりに泣いた。来年同窓会で会おう。そう思っていた。

大学は別々になった。
もう会うことはないでしょう。さようなら天使。そう思った。
だけど、何たる偶然か、大学入ってしばらくしたころ、私とB、C(高校の部活の仲のいい友人2人)で立てていた旅行計画に、彼女は颯爽と現れたのでした。
私、B、Cとは"部活仲間"程度の仲であったAの登場に、私は驚いた。

その旅行のなかで、Aはずっと付けていた羽を切り落とした。ちょっと痛そうな顔をして、バッサリと切った。
彼女は、天使ではない何かに堕したのだ。
なぜ、彼女は羽を切ってしまったのか。私には疑問で仕方なかった。天使の悩みは天使同士で語ればいい。態々下界の人間に、なろうとしなくていいのに。
彼女のそういう面を見たくなかったと思う反面、見て良かったと思う自分がいた。
私にこっそりカミングアウトした少し特殊なオタク的嗜好は、親近感をもたらした。一晩中オタク趣味で語り合った。
どうやら、Aの友人にとってAは天使でも何でもない、人間のオタク仲間らしい。
このとき崇拝に向いていたリビドーが、どこかあってはならない方向へずれてしまった。

旅行が終わったあとのAは、すっかり人間になっていた。
陰口を愛し、優越感と劣等感に苛まれもがく、そこら中によくいる人間になっていた。

これを機に、私とAは仲良くなった。
何度も飲みに行き、趣味を語り、時には世の理不尽を嘆いた。
私はそんな彼女をよく分からない好意で見つめていた。名前をつけるなら、「もっと近づきたい、知りたい」という好意だった。
そして、彼女と仲良くしている人が羨ましく思えた。

ただ、最近、Aはとんでもない毒を吐いた。例の4人で再度遊んだ日にBと喧嘩した彼女は、喧嘩別れの後に私に向けて「Bってどうしようもないクズだな。なんで来たんだよ」とBを罵倒したのだ。
私はそれが許せなかった。初めて彼女に悪意を向けた。だけど無言になるしかなかった。怖かった。
Bは遊びの計画も立てて、みんなを愉しませようとしていたんだよ。たしかにBは腹痛でかなり遅刻したけど、そんなに怒ることじゃないじゃん。私は4人で遊べて楽しかったのに、むしろAの罵倒で台無しだよ。
そう言いたくなった。

このあたりから、Aの毒は増していった。それと同時に、彼女は私に対し「もっと深い話がしたい」と言うようになった。
そうしてわかったのは、私が思うより彼女は病んでいて、思うより根は黒く、思うより攻撃欲の高い人だったということだ。
本来の彼女は、こうだったのだ。
私は彼女を本気で嫌った。

でも、嫌いになれなかった。


Aに抱いた親近感はこうして今も私を蝕んでいる。
彼女のしたこと、彼女の黒さを、受け入れたがっている自分がいて
その一方で、彼女のしたこと、そもそも彼女が堕したことを糾弾したい自分もいる。

私が数年間でこんなにAの事を考えているなんて、Aは知らないだろうな。
まあ知ってほしくもないけどね。ここに書きづらい気持ち悪いことも色々考えたし。

「そもそも彼女が羽を切らなければ、ずっと”憧れのAちゃん”でいられたのに」と自己中な考えも浮かんでくる。
「そもそも彼女が近づいて来なければ、私は重たい感情を持たずに済んだのに」とも思ってしまう。

こんなに私の心を揺り動かすのはAくらいだ。好きになった男性にもこんな重たい感情持ったことない。
心を揺り動かすAが憎い、そう思ってしまう自分も憎い。恋愛感情じゃあるまいし、勘弁してくれよ。
名前のない小瓶
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なんかすごいドラマチックだなあというのが初見の感想です。バレエの白鳥の湖を思い出しちゃった。オデットもオディールも同じ人が踊るんだよね。
相手に対する期待はどうしようもなく、勝手に裏切られた感もつきまとう。それが変だってことも主さんは知ってるんですね。

ちょっと怪しい意見だけど、私には天使のAちゃんは主さんの中にあるものだという気がします。だから気になるんじゃないか?主さんの願望をAちゃんは体現してくれてる気がして(憧れってそういう側面があるような)実際は別人格だからそうはならない、ならないけど重なるところもあって、二進も三進もいかないのか…?
否定したいでも否定できないのは、ご自身の正に一部だからじゃないかなあって勝手に思った。的外れ、いらんお節介だったらごめん。
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