ひとりぼっち。
寂しい。
大好きだったお父さんに置いていかれた。
追い掛けたかったけど、ダメだった。
それが10才のとき。
お母さんは私が嫌いだ。
兄と妹はいい子なのに、私だけお母さんを困らせるから。
20才で家を出るまで言われ続けた言葉
「兄ちゃんも妹ちゃんもよく寝るいい子だったのに
お前だけは夜泣きとおねしょが酷かった」
「お前はお父さん似。お母さんには懐かない」
そんなの知らない。知らない。
お金を貯めて上京して、一人暮らしを始めた。
家具家電も敷金礼金も全部自分で用意して。
家賃を払いながら、実家にもお金を入れて。
そうやって手に入れた平穏は、あまりにも寂しい。
お父さんに置き去りにされた。
お母さんに愛されなかった。
兄と妹は私を見ないふりした。
誰にも助けてと言えずに逃げた。
もうすぐ30才になるのに、
私はひとりで夜に泣いている。
私には何もない。誰もいない。
寂しい。寂しい。