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あしたプレゼン。大学院生。何も準備していない。この半年間ほとんど何も研究していない。教授は半年前と同じ研究発表を

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あしたプレゼン。大学院生。何も準備していない。

この半年間ほとんど何も研究していない。
この状況で15分間の発表と10分間の質疑応答に耐えられるわけがない。
教授たちは半年前とほぼ同じ研究発表を聞いて一体何を思うだろうか?

よく二つの困難が立ちはだかるとき,一方をひとまず置いておき,もう一方だけに力を注ごうとする。

今回は就職活動のために研究を中断した。
採用される自信がなかった。
名門大学の大学院生であるというのに。
留年したわけではないのに。

コミュニケーション力が絶望的に乏しかった。
逆に言えば,大学でコミュ障ランキングトップ5人に入る自信があった。

他の人が1ヶ月~3ヶ月で終える就職活動に私は5ヶ月掛かった。
4ヶ月間は内々定なし。

応募するつもりの企業のエントリーシートを書けず,その企業は応募しなかった。
ある企業は「インターンシップフォロー面談」なる面談が実質的な採用選考であることに気付かず,面談前日深夜に履歴書もどきを書いたほかは何も準備せず,後に電話で「残念ですが…」の言葉を聞いてようやく現実を知った。
ある企業はバイトのシフトを変わってもらうことができず,バイトに行きリクルータと会える重要な就活イベントに参加しないという失態を犯した。
ある企業はエントリーシートの提出が遅すぎ,選考日程が他の選考とバッティングし,受けられなかった。
ある企業は選考の連絡を見落とし,受けられなかった。

リクルータとのメールをやり取りするのがつらかった。
あるメールは送ろうと思い立ってからメールをするまで,3週間掛かった。
メールを受け取ってから返信をするまで,24時間以上経過した。

就職活動をするつもりの日に何もしなかった,という日が週2・3日あった。
就職活動をした日も,1時間でできることを5時間かけてやっているかのように見せた。

日々自信を喪失していく。

朝起る時間が遅くなった。
テレビやネットで時間をつぶすことが多くなった。

研究をする余裕なんてなかった。
実際は言い訳に過ぎないことを知りつつ「就職活動があるから研究ができない」と思うことにした。

カウンセリングに行った。
テーマは就職活動とコミュ障について。
週1で1時間。
とても聞き上手で,無口な私でも話す言葉があった。
カウンセラーさんとの会話量が今年一年間の会話量(バイト除く)の過半を占めた。
まあ,少しは行ってよかったかな。

アドラー心理学の本を読んだ。
自分がどのような人間か分かった気がした。
どうやら私は周囲の人にもっとも悪影響を与える種類の人間らしい。
いつも自分のことばかり気にしている。

モチベーションを少し取り戻して5ヶ月目にようやく中堅企業から内々定をもらえた。少し嬉しかった。そこに就職するのだと思った。

でも,その内々定をもらえる前に別の推薦企業に応募していたから,その選考は必ず受けなければならない。
その企業のリクルータは(私がほぼ唯一知っているリクルータだが,)当初からメールをやり取りしていた人だ。
推薦の特権で最終選考一発勝負である。
必ず合格する訳ではなく,合否は半々といわれた。
自分の性格では合格率10%未満だと思った。

最終選考。
前日は何の練習もしなかった。

作文があった。
自分のことについて書いた。
開始時刻が早まったせいで終了時刻も早まったことに気付かず,400字まで書ききれなかった。

面接はいつもどおり,ぎこちない会話が交わされた。
リーダーシップについて問われ,その場で私はリーダーとして皆を引っ張っていくことのできない人間であることが明らかとなった。
海外ではとてもやっていけないTOIECの点数が書かれ,学会発表を一度もしたことがないことを実質的に証明する推薦状が提出された。

ひどすぎる。
私はほぼ確実に中壁企業のほうに就職するものだと思った。

1週間後,指導教授から送られたメールが以下である。


件名:[企業名]選考結果

○○君
Cc:△△先生

[企業名]の採用担当者からメールで選考結果が来ました。
合格(内々定)とのことです。

おめでとうございます。
(以下略)









訳が分からない。訳が分からない。訳が分からない。訳が分からない。訳が分からない。訳が分からない。訳が分からない。訳が分からない。訳が分からない。訳が分からない。


嬉しさはこみ上げてこなかった。
むしろ,私がその企業でやっていけないのではないかという不安でいっぱいになった。

当然そこは第一希望である。
けれども,中壁企業から内々定をもらってからは心の底で落ちればいいのに,と思っていた。
そこはみんなが名前を知っている大手企業であった。
業績がいい一方,自分には荷が重過ぎるような気がするようになっていた。
中壁企業のほうならほとんど名前も知られておらず,プレッシャーも少なく「のんびり」やっていけるのではないかという気がしていた。

最終選考の内容は,自分では全く納得のいくものではなかった。
面接官の目は節穴ではないかと思われた。
あるいは過労で頭が働かなかったのだろうか。

妥当だと思われる理由は,学部成績が比較的よかったからである。
大学院の入試は書類選考だけで通過した。

私は2留した人を知っている。
2回目の留年は入社する予定の日の3週間前にその人に告知された。
たった1つの単位を落としたために,彼は2回就職活動をしたことになる。

私は彼より「経歴」の面では上回っていたが,「人間性」の面では彼の方が明らかに上だった。

自己否定するような言葉は使うべきではないと分かっている。
しかし,私はくずである。

内々定をもらった中壁企業に辞退の電話を入れなければならなかった。
電話をしようと決意してから,実際に電話をするまで1週間が経過した。

あっという間に夏になっていた。
すべきことは分かっているのに,未来への不安が私を躊躇させた。
就職活動を終えてから今までの3週間ほとんど研究していない。

私は今,すべきことはこの文を書くことではなく,あしたのプレゼンの準備をすることだと分かっている。

私は一体何のためにあした中身のない発表をするというのか?

成績標語が主目的ではないことは明らかである。
私の去年の研究の成績標語は「S」である。つまり,最高評価である。
私はぎりぎり合格の「C」であると予想し,一つ上の「B」であったらよいなという期待を抱いていた。
それなのに,特に優秀な者にしか与えられないはずの「S」が付いた。
私の周りの院生も皆「S」だった。
教授たちが研究の成績標語に現実的な評定を付けようとしていないことは明白だった。

ああ,もう何もしたくない。
このまま「何の成果もありませんでした」と発表してぼろくそ言われてもいい。
ただ,その記憶が即時抹消できればの話だけれど。

おとといも研究室で用意しようとして,躊躇し,大学図書館で読むつもりもない本を読み,研究室に入ることなく帰宅した。

「次こそは」と何度思ったことだろう。
現実に直面すると,いつも回避的な行動をとってしまう。

アドラー心理学の本を読み,6月下旬にあらわとなった私の心の運動法則は「恥ずかしさからの回避」であった。

恥ずかしいことはつらい。
特に,皆がいる前で大人から叱られることはもっとも恥ずかしい。
そこで私は普通であることを求めた。
普通であれば,恥ずかしいことも少ないだろう。
ただし,大人たちの前では「普通」であっても叱られ,恥ずかしい思いをし得る。
そこで,私は「いい子」であることを目指すことにした。
「いい子」であれば,叱られることは少ない。
これは幼少期に考えていたことである。

しかし,私は「いい子」ではないし,「いい子」を目指す自分と自然な自分をうまく使い分けられない。
そこで私はぼろが出ないよう,大人たちが見ていないところでも「いい子」になろうとした。
私は自ら「いい子」の仮面を被り,ずっと被り続けてきたのである。

この戦略は通知表に書く成績の面ではうまくいった。
23歳までこれで私としては特段の支障もなくやっていけた。
無口でコミュ障という他の人から見たら耐えられないような性質を私はほとんど気にせずに。

はっきり言って私は「いい子」でないときの自分が他の人に対してどう振舞うのかを知らない。
教科書的な,あるいは理想的な大人が言うようなことに関しない事柄について話すことができない。
たわいのない雑談ができない。

分からないことを他の人に聞けない。
だから研究が進まない。

私はいつも私のせいで周りの人を傷つけることを恐れている。
これは他の誰かの幸せのためにということではなく,自分が苦痛を感じることを回避するためである。
自己中心的であるというほかない。

私は他の人に関することを避けてきたが,一方で本や物理的な素材に対しては積極的だった。
私はこの半年間,就職関連本を読むべきときに心理学と哲学の本を10冊ほど読んだ。

ああ,これはできない自分を少しでも「努力している」ように見せるための回避的行動の一つなのだろう。
私の行動原理は年齢にそぐわず歪んでいる。
未だ私は周りの人から自分について指摘されることを恐れ,回避しようと試みる。
「頑張っている」自分を周りの人に見せたがる。

どのように生きていくのがよいかなんて,分かっている。
すでに6月下旬に「私は変わる」と宣言し,7月中旬にはどう生きようかについて決着をつけたはずだ。

しかし,変われない。

悲観的であるべきではないのに,自暴自棄になってしまう。
遅くとも11時までに寝るはずなのに,深夜1時になってしまう。
今やるべきことを,あれこれ理由をつけて先延ばしする。
プレッシャーに弱い。
一度リセットしようと休憩時間を設けるも,心の緊張感は解けない。

今この文を書いてからちょうど24時間後に自分は中身のない研究発表をしていることになる。

集団羞恥刑という刑がある。
大衆の前で辱められるということは,知人のいない刑務所で懲役刑に服するよりも苦痛を与えうる。
テレビに出てくるスキャンダルを起こした芸能人や不正をした企業の経営者の記者会見はまさに集団羞恥刑を執行されているところなのだろう。

私は変わると誓ったが,あしたのために未だ何の言葉も用意していない。
就活では過去の栄光が奇跡的な結果をもたらしたが,あしたはそれと関係がない。
「後少し時間があれば」なんて言い訳の常套句だが,私には時間が与えられすぎているくらいである。

自分の頭がおかしいのではないか?
そのような問いに今更意味はない。
お盆明けに発表会があるスケジュールが悪い,なんて子供の発想でしかない。

あなたがこれを読んでいる頃にはすでに私の半年間の愚行が知人たちの前で白日の下にさらされていることだろう。
成績標語は秘匿できるが,発表会はなんら隠匿できない。

進捗がないことの理由を聞かれても全うな返事ができない。
意味不明だとしても現在の状況を現在の自分で説明するしかない。

もしかしたら,発表やり直しになるかもしれない。
今,気付いた。

私の能力と周囲の期待が見合っていないと感じる。
研究室に入る前はもっと自信があったのに。

半年間と書いてきたが,大きな目で見れば研究室に入ってからずっと研究の進みが遅かった。
理由なんてとっくに分かっている。
私のこれまでの心の最終目的に従えば,私は結果として研究を遅らせることが適切な行動となる。

私に深く根付いたこれまでの生き方が,新しい生き方を実行することをためらわせる。

私にとって集団羞恥刑たる明日の発表会で私が恥を回避しようとすれば,これまでと同じ生き方をすることになる。
そのような考え方をする時点で,古い思考回路から抜け出せていない。
どう見られるか,ではなく,どのように善いか,の方が遥かに重要である。

私は恥ずかしさやつらさを乗り越えられる。
私は恥ずかしさやつらさを恐れない。
そう思いたい。
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ななしさん

研究が辛くて本当にギリギリなときにこの文章に出会えて救われました。出来ていなくて恥ずかしくて苦しいのはわたしだけじゃないんだと思えました。ありがとうございます。
名前のない小瓶
一年前の小瓶ですが、今はどうなったのかな。
私も今同じ状況です。大学院修士2年、サボり癖から抜け出せず半年くらいもう何もせずワンルームで遊んでばかりの毎日です。やってるように見せかけています。
出来てないんだって怒られたくなくて。サボってばかりでもうどうしようもないところまで来てる気がするけど、なんとかまともな大学院生に近づきたいなんてまだ思っています。この文章を読めてよかったです、同じように苦しんで悩んでいる人がいて、なんか勇気づけられました。

ななしさん

めっちゃ分かる

ななしさん

1回行かないと行きたくなくなるのわかるや、、
僕も今からある研究会担当だけどサボります。一応メールを低姿勢に入れとくだけはしてるけどチクチク言葉は避けられないよね〜

ななしさん

私も同じ状況です。やめたい逃げたいとずっと思っているけど、それも怖くて何もできません。情けないのは分かっています。
何もしないまま過ぎていく日々が増える度に自信もなくなるし、嫌で嫌で仕方がない。同じ状況の人がいて少し気持ちが楽になった。頑張ります。

ななしさん

つらいよなあ研究
元気にしてるかい?

私も進捗ないからゼミ明日サボるよ

ななしさん

同じような状況です。研究全然してないし、就職活動頑張ろうと思っても少しずつさぼります。私もダメ人間ですが、とりあえずは生きようと思います。

ななしさん

同じ境遇の人がいてちょっと救われた
名前のない小瓶
終わりよければすべてよし。
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