憧れた人は例外なく自殺、または自決によって人生の幕を閉じている。
太宰治、三島由紀夫、阿南是近、野村秋介、森田必勝
文学者、保守思想家、帝国陸軍大臣、青年活動家。
太宰以外は国を憂い自決をしている。
大義名分のある自決は妖艶な魅力を放ち、死に寄って完結する、ある種の潔さと自決でなければ完結し得ない、そして、自決を最後としなければ辻褄が合わない、なんぴとも納得の出来る自決は限りない美である。
朝日新聞社長室内で、自らの党、風の会を、朝日新聞専属の左派コラムニストにより、虱の会と揶揄され、猛烈なる抗議にてスメラノミコトイヤサカを三唱しピストルで三発の弾丸で胸を割った野村秋介。
帝国陸軍大臣として、陸軍青年将校たちによる終戦反対のクーデターを全力で阻止しょうとし、玉音放送原音を守るべく、終戦に尽力を捧げ、最後は帝国陸軍の軍人として、終戦を見る事なく、戦時下において決して敗北ではない割腹自決をした阿南是近帝国陸軍大臣。
防衛の在りかたを考え、盾の会を結成し自衛隊を支持していたが、自衛隊としてのアイデンティティーに疑問を抱き、国を憂い、過度な資本主義により頭でっかちの大和魂を忘れつつある世に対し警笛を鳴らし、陸上自衛隊本部にて、猛烈なる抗議をし、直後に同志である森田必勝と共に割腹自決をした三島由紀夫。
自決をこれ程までに美しく、まるで物語の絶対的な、完璧な終わりを遂げる。まさに自決の美を限りなく追及した最後。
死に様まで魅了してやまない。