女子校の入学式、担任にもらったというバラを持った彼女の第一印象は「バラが似合わない子」
栗毛色の二つ結びに、赤縁メガネ、丸い頰の幼い印象の彼女
スイートピーとか、そういう優しい花が似合う女の子
同じ部活に入って、すぐに仲良くなった
バスも同じ路線で、ヒヤシンスの名前が思い出せなくて、バス停までいくつも花の名前を出し合った
身長が低いのに、相合傘を持ってくれて
私は何度も頭をぶつけながら、この子が好きだな、大切にしたいって
雪が降り積もるように静かに思った
けれど彼女は、世間で言う悪い男を好きになりました。
年上の、好きでもない女性を抱く
風俗に行かないでって彼女が言うと
お前が技を身につければいいって
大学生になって彼のために風俗を始めた彼女を
そんなバカなことがあるか、私は応援できないと夜中に泣きながらかかってくる電話に呼び出されては何度も叱って、慰めて
だけど私の言葉なんか その場しのぎ
結局、彼女は彼と結婚した
今は子ども産まれて、改心した彼と一緒に幸せだというのが救い
というかそうでないと許せない
ドイツの国旗のデザインがきらいで
桃が大好きで、可愛くて、危なかしくて
意志が強いあの子を、今も愛してる
私は、自分が同性愛者なのか異性愛者なのか分かり兼ねて生きている
ただ一つ言えるのは彼女以上に人を愛せない
一度、知ってしまえば拭えない違和感を抱えて
誰かと付き合ってもどこか罪悪感がつきまとう
恋を自覚して10年
誰にも打ち明けられず、小瓶に流させていただきました。