浜辺にいる皆さん、お疲れ様です。狼です。
浜辺にさす日の光は、建物が並ぶ街よりも一段と強く感じますね。
春が始まったばかりだというのに、温かさに浸る間を与えぬかのような天気には翻弄されます。
体調にはくれぐれもお気をつけて。
さて、今日はあなたとどんなお話をしましょうか。
天気が「両極端」ということで、それにちなんで話をしましょう。
白か黒、上か下、善か悪、あなたか私。
世界が両極端であれば、どれほど楽だったでしょう。
「あなたが正しい」「あなたは間違っている」
皆がそう言い切れたのなら、どれほど。
はっきり言い返せれば楽なのに。
はっきり言い表せれば楽なのに。
はっきり病名が付けられれば楽なのに。
言葉にできない言葉も、表せない表情も、誰もが持っているはずなのに。
いつの間にか、「比較的」を使うことを、白黒に見立て始めた。
「どちらかというとあなたが悪い」「あの人よりできないから自分が悪い」
はっきりしないと怖いですよね。知らないことは怖いですよね。
見えない敵と戦わされて、いつ矢が飛んでくるかもわからないのに。
逃げ道もわからなくて、逃げていいのかもわからないままで。
遠くで同じように悲鳴を上げている声も聞こえる。やっぱり自分だけ逃げるわけには。
いつの間にか織の中。
「わからない」でいいのではないでしょうか。
「なんだかわからないけど、疲れた」
「なんでかわからないけど、苦しい」
「なんだか知らないけど、楽しい」
その曖昧さが、あなたを表しているようで。水のように、そこにあるけど触れない。よく見えないけど綺麗。それでよいのではないでしょうか。白と黒だけの世界もいいですが、色とりどりでも素敵です。
はっきり言えないからこそ、閉じ込めないで。
小瓶に名前と少しの曖昧な水だけを入れて、それ以上言葉が紡げなくても。流せば狼には届きます。きっと海の向こうのたくさんの人間たちにも。
届けば繋がる。あなたが生きて海の向こうに立っていると知る。
狼はそんな出会いを、幸せに感じるのです。
あなたはどんな水を届けますか。