ななしさん
エンドルフィンは、正しくはβ-エンドルフィン。
自傷行為に伴う痛みの程度によって、β-エンドルフィンだけでなくエンケファリンも同時に分泌されるみたい。
脳内麻薬(内因性オピオイド)には、モルヒネの5〜7倍の鎮痛鎮静作用があるんだけど、それ以上に特徴的なのは、医療用製剤のモルヒネとは比べ物にならないほどの多幸感をもたらすこと。
小瓶主さんが言ってる「ストレスの緩和」は、この多幸感から来ていると考えられる。リストカットでも抜毛でも、そこは変わらない。
ストレスが緩和されると、自傷行為に至るまでの辛い出来事や記憶などを切り離すことができるようになるんだ。
ストレス緩和→自傷→切り離し→さらなるストレス緩和→自傷……と、無限ループに陥っていく。
実は、自傷行為を繰り返す直接的な原因は、内因性オピオイドに「習慣性」があることなんだ。世の中で言われてる依存性とは少し違う概念だけど、ほぼ同じものと考えてね。
習慣性のある物質に長く晒されていると、やがて耐性ができて、脳はもっと強い安心感を求めるようになる。身体もそれに反応するので、内因性オピオイドの分泌量が少しずつ増えていく。
仮にモルヒネであれば、正しい手順(プロシージャ)を踏んだ上で投与量を減らすことができる。でも、内因性オピオイドは文字通り体内で自動的に産生されるものだから、その分泌量が増加してしまうと、それを元に戻すことはとても難しい。これが自傷行為の本当の恐ろしさなんだ。
自傷行為って、とかく「その痕跡をどうするか」っていう話に関心持たれがちだけど、それ以上に大事なのは「どうしてやめられないのか」を考えることだと、僕は思うよ。