最近、自分がどんどん一つ下の同性の後輩に惹かれていくのを感じる。
絶対に後輩に手は出さないと決めている。手を出さないというか…好きにならないって。
今まで先輩ばかりを慕ってきた私には、先輩を好き=憧れ、という認識がある。でも、その感情を後輩に向けた途端なにかすごく贔屓だとか、なぞに犯罪臭だとか、そう言ういけないものを感じてしまう。
あとは、私は好きになると相当頼ってしまいたくなるから、後輩に部長とか演出の悩みを押し付けたくなかった。
それなのに、明らかに今私は助手の後輩をそういう目で見ている。一つ下で、年の近い唯一の後輩。私の跡を継ぐ人。
悩みを打ち明けてくれてから懇意にしているけれど、気づいたら私の方がよほど頼っている。ちょっとした仕事はもちろんのこと、自分のやりたい演出と友情に挟まれて動けないことを告白してしまい、高二の黒い部分を見せてしまった。多分手首のリストカットの傷も気づかれている。後輩の退部騒ぎで頼れる人が誰もいない時、不安で不安で苦しくて、泣きそうなのに気づいてくれたという理由だけであの子に抱きついて泣いてしまった。あなたがいるから頑張れるなんて、重いことを口走ってしまい、振り返ってみれば去年の私が言われたら明らかに潰れちゃうようなことをたくさんぶつけていた。
それでも、私の演出に好きです!!と良い反応をくれたり、どこに行くにもついてきたり、久しぶりに演技をしたらやっぱり流石ですね、って褒めてくれたり、何よりも頼り過ぎなことを謝ると頼っていただけて嬉しいです、といつも言ってくれることに、ギリギリな私の精神は救われる。だから、もう依存なんてしたくないのに、どうしても頼ってしまう。
自分が気持ち悪い。
そもそも彼女がどういう性的指向なのかもわからない。いや、自分がそういう関係を望んでいるのかもわからない。
でも、「私は彼女が欲しいですー」と言い出したあの子の言葉に相当動揺したのは事実だ。抱きしめられない日はどうも心細いし、ほっぺを触られると、「やったな」とか言いながらも嬉しくなってしまう自分がいる。ずっとそばにいてくれたらいいのに、頼りたいし頼って欲しい、と思ってしまう。私は多分彼女が好きなんだと思う。でも、同期を頼らないからって後輩に行ってしまう自分は大嫌いだ。
私が同輩と練習場所を出て少しサボった日、何にも声をかけられなかったってしょぼくれるところとか、心配してくれるところとか、たまに話しましょうねって背中を撫でてくれるところとか、何もわからないですけど頼ってくださいって言ってくれるところとか、全部が好きだけどそれに乗るわけにはいかない。もう結構迷惑かけちゃってるけど、これ以上抱えさせられない。
だから、私が変わらなくちゃ。頼れる先輩、頼れる部長、頼れる演出に。もうこれ以上頼る側ではいたくない。戻れなくなる前に手を引かなきゃ。
きっとこの小瓶が流れるのは、文化祭の前日くらいだ。その時、私があの子にとって頼りになる先輩になっていますように。私は絶対に変わる。