何もかも必然だった。
これまで起きたことの全てが
私という前提に生まれた必然の連続体で
きっとこれからもそうなのだろう。
あのときうまくいったことも
絶望の淵に立たされたことも
全部私がこのように生まれ
このように生きたから
このように人と出会ったから
このような物事に、触れたから。
だからねもう後ろはあまり振り向くべきじゃないんだと思った。
私は明日も明後日も必然に生きて最後には必然に死ぬから、だから、もういいって思った。
昨日を嫌ったり溺愛したりする必要はないと、思った。
こんなに生きてるね、両手からこぼれ落ちてしまいそうなくらい。
だからもうこぼれ落ちてしまったもののことは考えなくてもよかった。
私、生きてるから。
明日があるから。
必然があるから。
死ぬまで、生きるから。
私は私の運命を、宿命を、必然を
呪いたくはないと思った。
最後まで走りたい。
走って走って走って
息が切れても唇に血が滲んでも転んでも
走りたい
そうして走る先を
前を見届けたい。
青空みたいな未来に触れたい。
たとえそれが極寒の地でも。
もう後ろは振り向かなくていい、
未来まで連結された必然を愛おしむために
今はただ走るだけ。
なにもかも、しょうがないね
でも
しょうがないけどしょうがなくない
そんな人生だと思った。
好きなことができるのも
泣けるのも
幸せを感じることができるのも
きっとここだけだから。
走れるのはこの体だけだから。
後悔なんていらない。
全て私の人生だ。
嗚呼悲しむべき喜ぶべき今世や
私はきっとお前を生き尽くすから
お前という必然の美しさを
私のひたむきさに免じて見せて、と思う。
今度はどうか絶望だけはしないと
しないように願うと、誓うから。
だからもう、そっぽを向かないで。
もう君を誰にも渡したりなんかしない
私だけが君を生きてやると、誓うから。