この手紙を読んでくれたあなたへ
最初に言っておきたい。
ここにはあなたには生きる価値があるだの死ぬのは何があってもいけないだのといった耳触りのよくて鳥肌が立つような文句はない。
この文章を読んでからといって苦しみから救われることもたぶん無い。
今から言うことは全てイカれた人間の戯言だ。真面目に読まないほうがいい。
さて、あなたが五体満足健康でかつ死にたいと思ってるなら、最高に素晴らしくて愚かな人間だと、私は思う。
寝たきりとかだったらごめん。本当に。
結論から言うと、
あなたは死んでも良い。ただ、絶対に生きてもいい。
自分が生きたいと望むなら。
生きてる意味がなくとも。
生きてる価値がなくとも。
誰からも必要となくとも。
誰かはも愛されなくとも。
どんなに死ねと言われようとも。
どんなに憎まれようとも。
どんなに嫌われようとも。
なぜか?
それは
あなたが生きていることと生きている価値があることには何の関係もないからだ。
想像してほしい。
海がある。
海は美しい。
海にはとてつもない価値がある。
生命が誕生した場所らしいし、
無いと寿司も食べられない。
じゃあ、人間がこの世界から丸ごといなくなったとしたら?
もう海に意味は無い。価値は無い。
意味と価値を与えていた人間はもういないからだ。
それなら海はポンと消えてなくなるんだろうか?価値がないから。
たぶんそうじゃない。
海はある。美しいまま。
あたりまえのことだ。
あなたもさして変わらない。
意味や価値なんてのは、体中にベタベタ貼り付いた下品なシールだ。
あまりにも長くくっついているから、
はがすのはとても痛い。
自分の一部だと錯覚するほどに。
けれど、即死するわけではない。
私はあなたに質問したい。
なぜ、生きるのに理由が必要なのか?
なぜ、生きるのに意味が必要なのか?
別になくてもいいんじゃないか?
今、生きているのだから。
好きなだけ生きて、
好きなだけ死んでくれ。
どこかの浜辺から
『いかなる生命であろうともことごとく、動き回っているものでも、動き回らないものでも、長いものでも、大きなものでも、中くらいのものでも、短いものでも、微細なものでも、巨大なものでも、見たことがあるものもないものも、遠くに住むものでも、近くに住むものでも、既に生まれているものも、卵など、これから生まれようとしているものも、生きとし生けるものが幸せでありますように』