思い出した。
あの恐怖。
あの日から、私の居場所はあの子の居場所になった。
あの子と初めて会った日。
第一印象は、とっても可愛い子、だった。
綺麗な子だった。
お転婆で、純粋で、一生懸命で。
あの子の毎日が、幸せに満ちていた。
そしてあの子は、その幸せな一日一日をとても大切にしていた。
だから、周囲は一瞬であの子の虜になった。
人に囲まれて、あの子はいつも幸せそうにしてた。
私は、あの子が大嫌い。
いきなり現れて、私の周りの人を掻っ攫っていった。
だけど、あの子を恨めば、私は悪者にされた。
私は、明るい子だった。
よく笑う子だった。
容姿は普通だけど、人には好かれやすかった。
だけど、だんだん光は弱まっていった。
周りからの大きな期待。
プライド。
責任感。
それらに、私は踏みつぶされてしまった。
ちょうど、一番苦しかった時期。
性格はねじ曲がり、暗くなり、目の下にはいつもクマがあった。
その時、あの子が現れた。
私は、人がどんどん遠ざかっていくのに、何もできなかった。
何かをする体力がなかった。
ただ、それを眺めていることしかできなかった。
だけどやはり、あの子への恨みは私の中で大きく膨れ上がった。
その思いが、耐えきれなくなって弾けた時。
それが、生まれて初めて自分が自分のいうことを聞かなくなった瞬間だった。
あの子の声が少し耳に入るだけで、私は狂ったように泣いた。
あの子が視界の端に入るだけで、私は硬直し、しゃがみ込んで震えた。
こんなことを言われた。
「あの子は、元気だった頃の○○(私)にすごく似てるね。」
ああ、そうか。
あの子は、元気だった頃の私なんだ。
確かにそうだ。
私の周りにいた人たちは、みんなあの子の周りにいる。
あの子は、壊れる前の私にそっくり。
ああ。それなら、
今の私はいらないね。
私の代わりは、あの子が果たしてくれる。
陰気な私より、あの子の方がずっといい働きをしてくれるだろう。
死後のサポートまで充実してるなんて、感動。
遺していく人々のことを考えなくていいもの。
私はもう用済み。
これが、初めて失敗した自殺だった。
どうして今まで忘れていたんだろう。
いつから、あの子を囲む一人になっていたんだろう。
どうして、あの子のそばで平気で生きていられたのだろう。
あの子が怖い。
いや、それ以上に、
自分が怖い。
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