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41人が1人を無視した結果、41人を無視できる1人が爆誕した話

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中学生の時、文化祭に1人で参加したことがある。
クラス単位で参加必須のある展示品の制作。
私は自分の希望と無関係に、立場上、その制作に関わらなければならなかった。
ところが、希望者を募っても、誰もやりたい人がいない。
それどころか、学級会の場で協力要請をしても、
「お前ひとりでやればいいじゃん」
とヤジが飛ぶ始末。

ふ~ん。そう来るんだ。
私は先生に頼んだ。
その展示物の過去の優勝作品を保存してあるなら、見せてくれと。
幸いにして、過去5年分の優勝作品があったので、それらをよく調べた。
勝てる作品の傾向を知り、攻略の対策を練るためだ。
先生は、私の行動の意味が理解できず、終始おろおろしていた。
文化祭まで残り少ない日数で、他の参加者が決まっていない状態を私が放置していたからだ。
優勝作品の精査が終わったとき、私は先生に言った。
「ありがとうございます。この程度なら一人で制作できます」
「は?」

時間がない。
その日の夕方から、私は教室で一人きりで、早速制作に取り掛かった。
翌日も、その翌々日も。
クラスのみんながチームでほかの展示や出し物の練習など進める間、教室の真ん中に陣取って、一人で作業に熱中していた。
それははたから見ると異様な光景だっただろう。
クラスメイトの中には、ビクビクしながら私に話しかけてくる人も何人かいた。
「時間ないから、邪魔しないでくれる?」
その一言で、締め切りまでの間、邪魔が入るのを阻止した。
学級会でヤジが飛んだ時に助け船を出さなかったお前たちが、今更、味方面?
そんなこと許さない。
いい人面なんかさせない。
お前たちだって所詮は、
「1人を無視した41人」
の仲間なんだよ。
「私は卑怯者です」
ずっとその張り紙を顔に貼り付けたまま生きていけ。

重労働だったが、その甲斐あって作品は見事な仕上がりだった。
ちゃんと締め切りまでにクラス対抗のコンペに出し、優勝した。
その知らせを受けたとき、私は哄笑した。
「学校の文化祭の目的は、参加のための活動を通じて、助け合いの精神を育むことですよね?
なら、41人で1人を仲間外れにした結果、その1人が作る羽目になった作品は、そもそもコンペの参加資格を満たさないとして、失格にすべきでしょ?」

誰もこのことに気付かない。
文化祭本来の目的というものが、いかに形骸化され、単なる乱痴気騒ぎの一つに成り下がっているかのいい証左だろう。
この時、私のクラスを失格扱いにできるだけ筋の通った人が一人でもいたなら、私はその人を心から尊敬したと思う。

翌年、クラス替えでみんなバラバラになった。
勝てる人間のそばには人が寄ってくるものだ。
文化祭が近づくと、前年の優勝者ということで、私がまたその展示品の担当になった。
そして、
「是非学ばせてください」
と新しいクラスメートの何人かが自ら申し出てきた。
その年は、仲良く3人で制作して、また優勝した。
その展示品のコンペ自体が、固定メンバーが互いにしのぎを削るマニア同士の対決の様相を呈していた。
その翌年も、同じメンバーで参加して優勝した。

ときどき思う。
あのとき、他の子が私の立場にいたら、どんな展開になっていたのだろうと。
メソメソ泣いて、
「どうして誰も助けてくれないの?」
「寂しいよ」
などと先生や「友達」(友達ねぇ…)にすがって、あくまでも誰かと一緒にやろうとしたのかな。
そして、お情けで周りの人間にしぶしぶ助けてもらって、本人は、
「一人では何もできない子」
のままだったのかな。

この経験のお陰で、私は自分に何が出来るかを、また一つ新たに学んだ。
災難が降りかかってくるまで、自分が一体どこまで出来るのか、実は自分自身でも殆ど分かっていないことが多い。
その意味では、私を無視してくれた41人には、むしろ感謝すべきだろう。
加えて、この経験を通じて、私は、少数精鋭で質のいいモノを制作し、同じくらい力量のある人達としのぎを削ることが好きなのだと気付いた。
そして面白いことに、それが正に、私が今、クリエイティブ畑でやっていることなのだ。

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