眠れぬまま天上を見つめるのも飽きたので、水を飲みにキッチンへ
ベットから降りると、ぐらりと景色が歪む。棚に手をかけたが、虚しいことに転倒
力の入れ方を忘れてしまったのかと思う程に、体は言うことを聞かない。
しばらくすると、動けるようになった。
冷たい水を乾いた喉へ。
只今午前3時。
何故こんなに眠れないのか
自分は眠ることが好きだったはず
よく寝るなと呆れられていたほどだ。
なのに最近眠れないのは何故なのか。
今日に至っては、運動もした。疲れているはずなのに。
そんなことを考えているうちに、また力が抜ける。右腕に痛みがはしり、生暖かい血が出た。残ってた水と血で濡れた腕が気持ち悪い。動けるようになっても、多分体を起こす力はないだろう。
少しの眠けがやってきたので目を閉じていると、玄関ががちゃがちゃと煩い。
部屋が明るくなり、いつもの馬鹿デカイ声が聞こえる。起こされた体が揺さぶられ、酒と煙草のにおいが鼻にきた。「臭い」だとか、悪態を突いてやりたかったけれど、この時はそんな元気はなかった。
サークルの飲み会で、今日は帰って来ないはずの同居人。幼稚園に入るより前からの知り合い、腐れ縁。
がさつなくせに、テキパキと腕の手当てをすませる男を眺めていた。昔は俺がやってたんだが、今では迷惑をかけてばかりだ。
いつもへらへらしてるくせに、真剣な顔して、俺なんかかまうより、他の奴とつるんでた方が絶対楽だ。
口は悪いし、おまけにすぐ手が出る。
なのに、どうしてこいつは俺から離れないんだ?馬鹿だからか?
嫌いだとか言って、こいつから離れない俺も俺だな。一体何がしたいんだか