ごめん。沢山嘘をついてしまったね。
歳も場所も名前も全て騙した。
嘘を重ねて重ねて重ねて。
大分嘘つきも板についてきた。
そこに僕はいない。
君が好いてくれた僕はいない。
君達が笑いかけてくれる僕はいない。
作り上げた僕は完璧だ。
好かれるために作った僕。
想定通り好いてくれたね。
案外簡単だった。
まあそりゃそうだ。
文字しかないのだから。
もし本物の僕が其処にいたら、君達は好いてくれただろうか?
結果は知りたくもない。
もし全てバレてしまったら、謝りもせずに僕は消えるよ。そう決めたんだ。最低な僕は。
真っ暗な夜はふと我に帰って胸がくるしくなる。
僕は何処にもいないんだ。