クリスマスの日にお遊戯会をしていた。
寒い日にオレンジ色の灯がぴったりだ。
壁にかかった黒い幕に描かれたカラフルな街並みがわくわくさせる。
嫌いな人なんて誰もいなくて
やることひとつひとつに全力で。
劇の中、架空の世界のキャラクターになっていたんだ。
歌が下手。年下の子が泣いていて先生にあやされている。
そんなの気にしない、あわてんぼうのサンタクロースを、きよしこの夜を、全力で歌ったんだ。
手と足を大きく動かして可愛らしい踊りを踊っていた。
わたしこんなにいっぱい踊れる!みんなに見てほしい!と思って、無邪気に。
そんな日にはもう戻れない。
楽しかった。けれど絶対にもう戻れない。
過去のどの瞬間にも戻れない。
その考えがわたしの基盤になっているのかもしれない。
あの瞬間。あの夢の中。
戻りたいけれども。悲しいことだな。
と思って生きている。
これほど分厚い過去たちがひとりひとりの人間にあるんだ。
だから人混みにいるとくらくらする。
「人生」がこんなに集まってる。
とても怖いと思う。
把握しきれないものって怖いから。
生まれてこなければ
こんな複雑なこと、なくてよかったのに。
楽しいも悲しいもつらいも嬉しいもなかった。
無でいられたのに。
なんでよりによって人間なんかに生まれたんだろうね。
生まれたからのはもうしょうがないから
できるだけ楽に楽しく自分にとっていいこと拾って
生きていこうかな。
めんどくさ。