私は所謂ファザコンだ。両親は離婚し母下で暮らしている。世界で一番大好きで大切なお父さん。毎回会うのをとても楽しみにしていた。待ち遠しかった。それなのに事故に遭って亡くなった。
突然のことで驚きはあった。
だけど、
遡ること数ヶ月前。2ヶ月ぶりに会ったあの日。私もお父さんも、こうしてみんなで会うことは最後だと知っていたよね。口には出さないけれど、もう2度と会えないんだと、確かに感じていたね。
私はそれを信じたくなくて、何でも良いからとにかく会う口実が欲しくて、近所でお土産を買って会いに行ったね。あの時は無理矢理時間を作らせてしまってごめんなさい。
そして奇しくも、事故当日は私たちが会う約束をしていた日だった。
その前日、何だかいつもと違う空気が流れていて、ずーっと胸の中がざわざわしていて。なんか変だなあと思うと同時に、お父さんと連絡を取らなければとずっと考えていた。だけど、いつもは当日に連絡を入れてたから。
何をそんなに焦らずとも明日の朝にでも連絡すれば良いと言い聞かせた。自分の勘を信じたくなかった。勘も騒めきも全て外れれば良いと思った。
後悔に押しつぶされそうだ。
あの時電話をしていれば最後に声を聞くことができたのに。事故に遭わなかったかもしれないのに。
父が遺影の中で笑うのを見ているだけで涙が溢れて止まらない。ふと父を思い出すだけでも涙が滲む。
父の友人や親戚が、父との思い出話に花を咲かせている横で必死に涙をこらえている。
10年経ったら共に笑えるだろうか
20年経ったら共に笑えるだろうか