もっと生きてほしかった。
もっと笑ってほしかった。
もっと遊んでほしかった。
相談に乗ったり、乗られたり。
勉強を教えてもらったりしたかった。
また、帰って来てくれるって、そう信じてた。
元気に帰ってくるって。
でも、その、あの命は僕の知らないところで終わった。
兄が死んだ、もう4年近く前だ。
あのときのことを今でも覚えてる。
鮮明に。
電話を力なく戻す祖母。
笑いのない車内。
泣きはらした父の顔。
手で顔を覆う母。
唇を噛みしめる次男。
私達を励ます母方の祖母。
それになんとか笑ってみせた、僕。
やっと入って、兄の手を握る。
冷たかった。兄の顔を見る。
青い。認めたくなかった。
でも、それを自分で確かめてしまった。
兄の脈がない、、
次男の顔を見る。
泣いてる。見たことない顔で。
あの日以来の大声で僕は泣いた。
誰も僕の意味のない声に怒る人はいなかった。
兄は眠るように、最後まで何も言わず。
眠ってしまった。
兄が家に帰ってきて、数日過ぎた。
火葬が終わり、兄もいなくなった。
ご飯時、僕は立って兄を呼びに行った。
いつものように覗いて………
でも、そこに兄はいない。
次の日も、その次の日も、何度も立ち上がって呼びに行こうとした。
でも、そのたびに、兄の手の冷たさを思い出す。
当分、私達家族に食事のとき、言葉はなかった。
それだけ大きかった兄の存在。
失って初めてわかった。
そして後悔した。
後悔の理由は、兄は、東京に行けば治ったかもしれないから。
亡くなる少し前、母に。
東京に行かない?と言われた。
兄の治療のため。
でも、僕は、こっちでも治ると思っていた。
だから行かないと答えてしまった。
その結果がこれだ。
代償は大きくつく。
みんなは、後悔のないように、大切なものを離さないで。
そして、いついなくなるかわからないから。
だから、忘れないで、感謝を。
私が伝えられなかった感謝を、これを見た人は出来ないまま終わらないで。
後悔は一生の恥。
僕は、そう思うよ。