色んな人がいる。「わたし」という感覚が、
頭の中の神経回路が起こした現象なら、
「色んな人」も現象だ。わたしも色んな人も
水の流れと同じように、動いている現象だ。
わたしや色んな人というのは、実在のない感覚。
あるのはわたしや色んな人ではなく、人間と
呼ばれる生命体だ。植物や自然現象と同じ。
だから、ただ生きることなのだ。わたしが何かを
するのではなく、生きているこの身体にわたしが
ちょこんと乗っているだけ。わたしがなくなっても、
身体は生きている。頑張っても頑張らなくても、
笑っても怒っても泣いても、絶望しても、
傷付いても、この身体は、わたしと関係なく、
生きている。わたしがいるのは真実だが、わたしが
いないというのが事実。わたしをなくすことは
できないが、わたしはないというのが実際である。