家族とは。自閉症と重度の知的障害を持つ40代の兄がいます。自分のことはある程度自分でできますが、意思疎通が図れない、会話が成り立たず

自閉症と重度の知的障害を持つ40代の兄がいます。
自分のことはある程度自分でできますが、意思疎通が図れない、会話が成り立たず常に大声で何かしら独り言(場に合っていない言葉)を言っています。自傷行為をしたり暴れて物を壊したり、反社会的な行動をとって事情を知らない人に警察を呼ばれたこともあり、目が離せません。

こういう事情を抱えた兄がいることで、幼い頃から何度も嫌な経験をしてきました。
小学生時代の壮絶ないじめ(いじめというより明らかな犯罪)、心ない周りの大人に「かわいそう」「将来はお嫁にも行かないでお兄ちゃんの面倒をみるの」と言われる、など数えきれません。
兄のせいで私と弟が嫌な思いをしないか両親が心配していることも子ども心に分かっていたため、そのことは一切両親には隠して生きてきました。

両親が兄から目が離せないこともあり、私と弟はほったらかし状態で育ちました。そのくせ両親は過干渉で考えが古く頑固で、いわゆる「毒親」タイプです。

それでも両親は、将来自分たちが兄(長男)の世話ができなくなった時のことを考え、私と弟がその兄の世話をしなくてもいいように、兄が二十代の頃に入所型の施設を決めています。今はたまに一時帰宅をしていますが、兄はいずれ自宅には帰らなくなり、その施設で生涯を過ごすことになります。
そういう点では、両親に感謝しています。

「自分の家庭が普通の家とは違うこと」「両親が私の望むような愛情をくれないこと」は子どもの頃から分かっていたため、早く結婚して自分で幸せな家庭を作りたい、と子どもの頃から思っていましたが、現状今でも独身です。

過去におつきあいした男性の間で結婚の話が出たことがありますが、障害を持った兄がいることで相手の男性のご家族に明確に反対され、破談になったことが何度もありました。入所する施設が決まっていることも含め説得しようとしましたが、障害のある人と関わってこなかった人にとっては、将来介護をしなければならないかもしれない人が一人多い、という認識なのだと分かりました。

いわゆる婚活をして、医療関係や福祉関係の仕事をしているような、障害に理解がありそうな男性を何人か紹介していただきましたが、ご縁にはつながりませんでした。
障害のある人をわざわざ「家族」にはしたくないのだと思います。
結婚することに関して他人より一つハードルが多いのだと気づいてしまったのです。

そのことは両親には話していません。悲しませると分かっているからです。障害がある兄がいるせいで結婚できない、を両親が恐れているのが分かっているからです。


30代後半になり、両親から私自身の今後の人生のことを強くなじられることが増えました。就職氷河期世代なこともあり正規雇用で働いたことがなく収入が少ないこと、未だに結婚していないこと、このままではいずれ家に独りになる(弟は家庭がありますが実家とは絶縁状態なため)、などです。
今後の人生が不安なことは私自身ずっと思ってきました。大学を卒業して働き始めた頃から、正規雇用で働くため、結婚相手を見つけるために色々行動をしてきたつもりです。

これからおつきあいをする男性がいるとしたら、年齢的にも最初から結婚を視野に入れてつきあうだろうということは分かっています。
でも兄や両親のことを含め私のことを受け入れてくれる、そんな人がこれから現れるとは到底思えず、人生に絶望を感じ始めています。
自分の家庭環境のことはいじめの件以来、基本的に周りには隠して生きているため、友達をはじめとして周りから「(私が)いい人なのに何で結婚しないの？」と言われるのも拍車をかけています。

両親は私のことを考えて兄を施設に入れているのだから早く結婚して欲しいと思っていることも分かっています。
でも、現状として私は何も持っていません。同世代の人が当たり前のように持っている居場所すら、持っていません。
私は結婚するためには私を選んでもらう努力をした上で「実家の事情のことを分かってもらう」努力をしなければならない。

おばあちゃんになっても独りで、寂しいと思ったら死のうという気持ちでずっと生きてきました。
それがそう遠い未来ではないことを、実感するようになってきました。


正直、寂しいです。
友達や職場の人や知り合いなど、周りの人には恵まれていると思います。
でも、そういう人達にもそれぞれの家庭があって、配偶者のようにずっと一緒にいてくれるわけではありません。
家庭があっても、居場所がない、独りぼっちだと思っている人がいる人が世の中に多いことも分かっています。


でも、当たり前のように誰かにそばにいて欲しい。
やっぱり、それは男性がいい。
好きになった人がいい。
愛されている、大切にされているという実感が欲しい。
誰かに幸せにして欲しいし、誰かを幸せにしたい。

そう思うのは間違っているのかな。


寂しい。
虚無感を埋めるために仕事に没頭したり、趣味に時間を注ぐことにも限界がきています。
誰かに必要だと思ってもらえないなら、生きている意味がないと思い始めています。