昔々の、ちょっとした思い出。私には、飴玉に思い出がある。
ひとつめの思い出の話。
小学校のクラスメイトのある男子が、私にヘンなあだ名をつけたりからかうし、正直ちょっと苦手としていた。
その男子の住む団地に友達が居て、団地の子たちと一緒に遊んでた。その男子の兄弟もそこに居たと思う。
帰るころ、問題の男子と遭遇し、ヒヤヒヤしている私に彼は意外な行動をとった。
こんな柔らかい笑顔もできるんだなってくらい優しい笑顔で
「これあげる!」
と私にだけに飴玉を一つポケットから差し出して、彼はすぐ家に入ってしまった。
私はきょとんとしながら飴を反射的に受け取ったと思う。
いつものイジワルなイメージとは違う、優しさなるものを感じて、「悪い奴じゃないんだな」と感じた。その飴はとても美味しかったのを覚えてる。
また違う日、友達と遊んでたら、ゲームを片手にしている彼がやってきた。飴のお礼はその時言えたかはよく覚えてない。
どういう流れか私に「やってみる?面白いぞ」と言ってゲームを差し出してきた。友達でなく、私に。
「難しそうだしなあ…」って言うと、一番最初のステージ選んだから大丈夫、簡単だからと彼は言ったと思う。
本当にあっさりクリアしてしかもすごく面白かったので思わず「次のステージやってみたい!」と私が言ったら、
よし、と言わんばかりに次のステージをプレイさせてくれた。
そのステージをクリアしたときはもう帰る時刻だったので私は彼にゲームを返すと、彼も帰る時間だからと言って、帰って行った。
その後私はその男子とそうして関わる機会はなくなってしまったけど、良い思い出だったと思う。
ふたつめの話は、かなり短いです。
初カレとわけながら食べた飴のこと。
一応、団地の人とは別のクラスメイトの男子で私が初めて好きになった人。この人も私にちょっかいかけたのが始まりだったと思う。
飴は2個セットの包装になっていて、好きな方を選ばせてくれて、その飴を差し出してくれた。
もう一つ飴を開けようとした彼に、「その片方ちょうだい!」と指さしたら差し出してくれた。
大好きな人と分けっこして食べる飴は、美味しかった。
二人からもらった飴は本当にどこでも売ってるような大した飴ではないけど、すごく美味しくて今も覚えている思い出の飴だ。