“昼庵吞”の書棚の一画には、12歳の時から読み始めた膨大な本の中で、私が世を去る時も持っていきたい本が並んでいます。
『ハル 哲学する犬』(クォン・デウォン 訳:蓮池 薫 ポプラ社)
蓮池さんの名に引かれ、手にしました。
北朝鮮に拉致され、24年もの間、異国での生活を余儀なくされた方です。
蓮池さんは忙し過ぎる日本人に、もう少し心のゆとりを持つきっかけとなれば…と思い、この本を訳されました。
“ハル”という名の仔犬をどう受け止めるかは、あなた次第です。
私はいつの頃からか、本を読んでいて、気に入った箇所には、付箋を貼る様になりました。
勿論、この本にも、沢山の付箋が貼ってあります。
色々あり過ぎて、心身共に疲れ果ててしまい、今年に入って、自分でも信じられないくらいの量の本を処分してしまいました。
本は私にとって夢であり、希望でした。心の支えでもあり、沢山のことを教えてくれました。
それでも、がらがらになってしまった書棚に残った本は、其処まで絶望しても離し切れないものだったんです。
今、頁を開いてみて、漸く付箋を貼りながら読んでいたことに気づき、過去の自分に僅かながらも、励ましをもらった気分です。
この本が、あなたへもきっかけをと願って紹介しました。