たけ
ゆみさま
こんにちは.ご無沙汰ですね.
まずは高校合格おめでとうございます.本当によく頑張りましたね.高校生活,思いっきり楽しんでください.
この先もゆみさんの前には多くの試練が立ちはだかることでしょう.しかしながら,この試練を通してゆみさんはきっと誰よりもゆみさん自身が生きていることを実感できると思います.
僕もこれまでいじめやハラスメントでたくさん苦しんできました.でもその苦しみから抜け出した今だからこそ思えることがあります.人間は苦しんでいるときに一番成長できる生きものなのだと.
私はとある国公立大学の大学院で研究しています.勉強・研究できる人たちが集まりやすい場所ではありますが,彼ら全員が人間的に優れているかどうかは別の問題です.僕を傷つけてきた人たちはその大学院の先輩や先生でした.苦しみから抜け出したときにその理由を自分なりに考えてみたのです.僕が出した答えは,彼らがある程度成功し続けているからということでした.大学受験でも失敗することなく国公立大学に進学し,そのまま一流企業に内定.大きな挫折を味わっていない人に限って,人の苦しみを理解しないどころか平気で人を傷つけるような言葉を口にする傾向にあるというのが僕の見解です.
また,僕はこの苦しみを通して以下のような考えを抱くようになりました.
成功し続けた先で不幸になる人がたくさんいるように,人生は何が幸不幸に転がるかは本当にわからない.大切なのは失敗し転んだときに立ち上がる力で成功する力よりもはるかに重要.これは失敗をある程度経験しない限り身につかない.だから失敗し続けているそこの君は今まさに大きく成長している人間であるといえる.僕の成功している姿(大学院進学やカナダ留学など)しか見ていない人がそこそこいると思うけど,その裏でそれを遥かに超えるくらいの苦しみ(いじめやハラスメントなど)を味わってきているのだ.その経験を生きる力に変換してきただけの話.幾多の挫折や失敗を積み重ねてきたからこそ得られたわずかな成功にすぎないのであって,そのスケールは大きく異なる.逆にいえば,成功がかえって大きな仇やしがらみとなることもあるのが人生.僕が成功者に嫉妬しない理由はそこにある.
また,これまで味わってきた挫折経験をうまく英語学習に活かすことができています.なぜか,英語を話せるようになると日本の人口の何十倍もの人々と交流できるようになるということを知っているからです.小・中学校でいじめられ,大学で仲間はずれにされてきたことも英語学習を進めるモチベーションにつながっています.カナダ留学を通して,世界的に見ても小さい日本の中のさらに狭い人間関係のことで悩むのが心底バカバカしく感じるようになりました.そんなくだらない日本人ごときに仲間はずれにされたところで大したことない,いろんな価値観や文化的背景を持った人々とたくさん交流し,友達になればいいだけの話だと.英語を通して過去のネガティブな経験と世界を味方に付けたのです.英語と付き合いはじめてからかれこれ11年になります.そして,その歩みそのものが今の,未来の自分につながっています.英語を学べば学ぶほど出会える人や文化,価値観,さらには自分の居場所が増えるということです.
いろいろ話が脱線してしまってごめんなさい.ちなみに今のところ僕の人生で最高に楽しかったのは高校時代だったと思っています.小・中学校でいじめられていた僕は受験勉強を頑張り,自身が住んでいる地域を飛び出して隣の地域の公立高校に進学しました.そこでは今日に至るまで付き合いと切磋琢磨を続けているマブダチとの出会いはもちろん,親友とよべる友達との出会いにたくさん恵まれました.彼らのおかげで僕は勉強や部活動を頑張り,(第一志望ではなかったけど)無事に国公立大学に進学することができました.苦しいことも多かったけど,それ以上に彼らと支え合い困難を乗り越える面白さ,協力することのすばらしさを心の底から味わうことができました.苦楽を共にした友達こそ本当の友達であると僕は思っています.
一度きりの高校生活.ゆみさんが様々なことに果敢に挑戦され,それが悔いのない充実したものとなるよう心から願っています.欲を言えばせめて英語の勉強だけは3年間頑張ってみてほしいです.今後,ゆみさん自身がもつ可能性を日本から世界に大きく広げるための土台となりますから.僕も今では日本人の友達に負けないくらいの数の外国人の友達がいます.
生きづらい時代ではあると思いますが,「困難はそれを乗り越えられる人にだけやってくる」という僕の恩師(工学部に進学するきっかけをくださった中学技術の先生)の言葉と最近の僕を応援してくれている「紅蓮華」(鬼滅の刃のオープニングテーマ)というLiSAさんの曲をお贈りし,終わります(ちなみにこの曲を聴くとめっちゃ元気出ます).
十分頑張ってるから,大丈夫だよ.