お父さん。
認知症だろうとは思って覚悟していたから、診断がついても驚かないよ。ただ、母さんには様子がおかしいから、病院に連れて行ってあげて欲しいとずっとお願いしていたんだ。ちゃんと検査するまでに、まさか5年もかかるとは…
彼女はいつもずるいよね、放置して誰かが動くの待っているんだもの。
あの時、私がガンの治療中じゃなければ、ちゃんと病院に通院させてあげていれば、もっと関わってあげていたならば、こんな事にはならなかったかもしれないのに。親不孝な娘で、辛い思いさせてしまってごめんね。
だから、真っ先に私を忘れてしまっても仕方がないんだ。滅多に実家に顔を出せなかったしね。
母さんが事故で入院して、お父さんと毎日一緒に過ごして、以前よりもかなり症状が悪くなっているのは誰の目にも一目瞭然だった。それでも、私の体や孫の事を気遣ってくれたね。
『今日は、父さんがご飯食べ終わるまで一緒にお茶でも飲もうかな?』そう言った日のあの嬉しそうな顔、今でも忘れないよ。
母への惚気話も、あんなに幸せそうに話してくれたの初めてだったね。すごく楽しかったし、大きな愛を感じて、とても感動したよ。
認知症って、ゆっくりゆっくり進むものだと思ってた。だから、まさかある日突然、ガラガラと音を立てて記憶が崩れていくとは思っていなかったよ。時間はまだある。そう思っていた。
お父さんの記憶から私が完全に消えた日。涙がとまらなかった。これ以上、私が身の回りのお世話をするのは難しい。片時も目を離せないから。
いよいよ介護のお世話になる決断をした。母さんの病院、自宅、父の家、1人ではもう限界だったから。
あの決断は本当に正しかったのだろうか?きっと、自分が楽になるためのずるい考えだったよね。
私が介護の手続きをしたばかりに、お父さんお家に帰らせてもらえなくなったんじゃない?
どんどん悪くしてしまったんじゃない?
もう二度と私を思い出す事はないんだよね。10分いや5分でもいいから、もう一度だけ思い出せないかな。
言えなかった事、たくさんあるのに…
たくさんのごめんねと、たくさんのありがとうをちゃんと伝えたいのに。
名前のない小瓶
106114通目の宛名のないメール
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お返事が届いています
ななしさん
(小瓶主)
たくさんのお返事ありがとうございました。
当時、父が再入院することになり流した小瓶。皆様のお言葉にどれだけ癒されたことか…。お返事、何度も何度も読み返しては、前へ進むパワーをもらい、心を保つ力となってくれました。
そんな父も、先日空へと帰って行きました。記憶を失った父は、コロナ禍で面会も許されず、寂しい思いをさせてしまいました。
最後に会えたのは半年前、他科を受診する際の半日程の付き添いでした。
私のことは分からなかったものの、言葉のやり取りをしていくうちに、父の方から話しかけてくれました。「ありがとうございました」と言って病院に戻って行った後ろ姿が、今でも忘れられません。
二度失う痛みに耐えるのは辛いものですね。あの時、小瓶を流していなかったら、痛みに耐えきれなかったかもしれません。
見ず知らずの私に、あたたかいお言葉をかけてくださった皆様に心から感謝致します。
本当に本当にありがとうございました。
ななしさん
会えるなら出来るだけ会って、話が解らなくても伝え続けたら良いと思う。
貴方の心の整理にもなるし、もしかしたらたまには正常な状態の時があるのかもしれないから。
ななしさん
きっと、あなたの優しさは伝わっていると思います。そして、忘れていないと思います。
自分が楽になるためと、責めるのも辞めたほうがいいと思います。
確かに、認知症は進行性の病いです。気付くのが早いのにこした事はありませんが、あなたの場合は、御自身も大病を患っており、様子がおかしいと判っても、誰にも委ねる事が出来なかったんですから。
私も両親に対して、自責の念を感じています。介護の勉強もしてみました。父が脳出血で倒れたのは、その後です。18年間の闘病の末、亡くなりました。倒れたのも、死んだのも自分のせいだと思う時があります。
それから3年が経ち、今度は母が認知症と診断されました。明日は、体調が良ければ、週1回のデイサービスの日です。
田舎に住んで居るので、父を診てくれていた方達が、今度は母を診てくれています。
彼等の苦労は、察して余りあるものがありますが、私は何の役にもたてません。
けれども、一人で悩むより、悩みを共有してくれる方達が居るというのは心強いものです。貴方もきっと、プロとして仕事にも打ち込んできたでしょう。彼等も同じだと思います。どんどん訊いて、アドバイスしてもらいましょう。
私も、そのうち母から忘れられるでしょう。けれとも、あなた程ではないですが、私にも両親への愛情めいた物はあるのです。
それにしても、貴方は優しい方ですね。
お父様がご飯を食べ終わるまで、一緒にお茶を飲もうなんて。ユマニチュードの一つのテクニックかもしれないですね。
ななしさん
あなたはとても良く頑張っていらっしゃいます。
認知症はある日突然調子が良くなったり悪くなったり、難しい病気ですよね。
小瓶主さまもご病気をされたとのこと、その後ご体調はいかがですか?
私の祖父母も認知症を患い、旅立って行きました。
実の親なのに、我が子の事が分からなくなってしまうなんて、これほど辛い事は無いと思います。
今まで一生懸命ご家族とお父様のお世話をされてきた小瓶主さまは立派です。介護サービスに頼るという判断も正しいものだと思います。
辛い事ですが、お父様は小瓶主さまの事ははっきりと思い出すことができないかもしれません。でも、今まで通り沢山会いに行くことができればそれが一番の親孝行だと思います。
きっとその事はお父様のご記憶にも残るはずです。
どうかご自分を責めず、決してご無理なさらず。
お父様も小瓶主さまが元気に笑顔で過ごされる事を願っていると思います。
ななしさん
お返事を書くのはとても余計なことだと思うのですが、とても書きたくなったので勝手に書かせていただきます。
私も認知症の祖母の介護をしています。祖母は私を孫だと認識していなくて、もちろん私とのたくさんの思い出も記憶の底に沈んでいて、たぶんもう思い出されることはありません。
あなたの気持ちはあなただけのもので、他人の私が口出しできることではないです。確かに沢山の後悔がおありなのでしょう。でもあなたのお父さまへの愛情は本物だと感じます。あなたは、色んなことに苦しみながら、でもしっかりとお父さまに愛情を持ってらっしゃる。誰にでもできることではないと思います。あなたは愛情深い、すばらしい方です。
それから少し、介護サービスですが、サービスの利用は、あなたとご家族を守るための最良の選択だったのです。決して、その点でご自分を責めすぎないでください。
あなたとご家族に少しでも多く幸せがありますよう、願っております。
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