あなたがこの手紙を読んでいるということは、小瓶がステキな場所に辿り着いたのですね。
小瓶を拾って頂き感謝致します。
私は旅をしているのですが、長い間1人で旅をしていますと誰かに思い出を話したくなるのです。
どうしたものかと考えた末、小瓶を流して見知らぬ貴方様に拾ってもらう事にしました。
これは私の旅日記に過ぎませんが、是非とも読んで頂きたい“ある少年のお話 ”
記憶には遠く…儚いものですが…。
少年は、温かい太陽に包まれながら産まれました。
お父さんとお母さん、そして3つ年の離れたお兄さんに見守られ大きな産声を上げたのは
街の誰もが知っています。勿論私も。
少年の家は小さな家でしたが、4人家族には丁度いいサイズの家です。少年が産まれる前は部屋が3つも余っていたのですから…。
両親が産まれてくる子供達のために沢山の部屋を作ったことは一生の秘密かも知れません。
王様の様な贅沢は出来ませんが、何不自由のない生活をしていた少年。好きな服を買って貰えて、美味しいご飯を食べられる…なんて素敵なことでしょう。
少年自身もこの生活がとても幸せなことを知っていました。だから毎日お月様へ感謝の言葉を送っていたのです。
月日が経ち16歳になった少年は思いました。なにかが足りない……自分にはなにかが足りないのだと…。
少年は怖くなりました。何不自由なく暮らしてきた彼にとってこんな気持ちになるのは初めての感覚なのです。
何が足りないのか…。いつしか少年はその事ばかりを考えるようになりました。美味しいご飯を食べても、友達と遊んでいてもその事ばかりが胸につっかえているのです。
学校が終わり家に帰ったある日、少年は自分の部屋で泣きました。沢山沢山泣きました。目が腫れるほど泣きました。これまで幸せだと思ったことが、幸せではなくなってしまったのだと少年は泣きました。
ただ泣けども泣けども、何が足りないのかは分かりません。不安が少年を逃がしません。
もうダメだと思ったその時部屋のドアが開きました。
そこには心配そうに少年を見つめるお母さんの姿がありました。目が腫れた少年を見てお母さんは一目散に駆け寄ります。
何かあるならなんでも話しなさいと言われ、少年は今までの不安を吐き出します。
少年が涙を流し、話を終えるまで、お母さんはただ優しく頷いていました。少年が話終わるとお母さんは言いました。
「お母さんは、坊やに足りない物なんて無いと思うわ。坊やだけじゃなくてね、自分には足りないものがあると思う人にはそんなものないのきっと。仮にあったとしてもそれは成長している証拠なのよ。」
一つ息をしてお母さんはこう続けました。
「坊やが悩んで成長していくのはとても嬉しいことだけれど、目の前の不安で幸せを見失わないで欲しいの。坊やがこんなに腫れるまで泣いてしまったらお母さんは悲しいわ。不安で悲しい時はいつでも言いなさい。」
そう言ってお母さんは少年の額にキスをしました。
彼に足りないものなどありません。
これは街の誰もが知っています。
勿論私も。
“ ある少年のお話”いかがでしたか。
もう何十年も昔に出会った少年です。旅仲間の話では今や双子の父親だとか…。
己に足りないものなど全ての人間が探しています。でもそれは足りないのでは無く自分が成長しているのだと…本日のお手紙で少しでも貴方様の心に響くものがあれば
それがこの旅日記の本望でございます。
少し長いお話でしたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。
ではまた、貴方に出会える日を楽しみにお待ちしております。
ー明日も良い旅をー
1人の旅人
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