認められてうれしかった。
たぶん、生まれて初めてだ。
褒め言葉なら死ぬほど浴びてきた。
なんにも心に響かなかった。
褒めるのって、
結果を、価値基準で裁いてるだけ。
褒めるのも貶すのも一緒、
見えてるとこしか見てない。
くだらない。
それに、
わたし、結果なんかどうでもいい。
終わったらすぐに忘れる。
生きているのは今、この一瞬だけ。
褒められるの嫌だってこと、
誰にも言えなかった。
真っ先に褒められる人間には、
刃物のような目線が向けられる。
横目の白目、集中砲火、すっごい痛い。
人前で人を褒めるの、
いい加減やめません?
自信はつかない。
傲慢になるだけ。
それに、
褒められたことのない人を、
褒められるっていう
虚しい目的に駆り立てるだけ。
それともそれが目的なのか。
人に上下なんてものつけて、
都合良く操作するために?
あなたは言った、
「大事なこと
きちんと分かってるから
大丈夫」。
わたしにとっての大事なことと
人間にとってのそれ
生き物にとってのそれ
全部つながってるんだって。
文化の底に流れるもの、
芸術が隠し持つもの。
入り口はひとり一つでも、
行き着く先は孤独じゃない。
やっと人間のひとりとして
組み込まれたように感じる。
よかった、わたし、
宇宙人じゃなかった。
もういいか。
優等生は廃業しよう。
わたしにしか聞こえない声のする方へ、
ひとり歩いていけばよかったのね。
ずっとそうしてきたけど、
これであっていたんだね。
はじめてだった。
努力や頑張りとか小さな次元じゃなく、
わたしの在り方と今までを、
あなたはまるごと認めてくれた。
へんなかんじ。体にひろがる、甘い感覚。
どうしよう、叫び出しそう。
なにこれ?
わたしの生そのものを、
喜んでくれる人がいるなんて。