僕には家がなかった
今までも、そしてこれからも
昔家だと思っていた場所は、どこかわからなくなった
僕は、
飛び降りる前の記憶がない。
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今日も、僕は砂浜を歩く
流れ着いた小瓶を拾う
お返事を詰めて、また流す
この人に届くことを願う
時々ある、塩水だらけの小瓶には、綺麗に洗って乾かしてからお返事を入れて流したりする
人によって小瓶の形とか、色とかは様々
気に入った小瓶は保存してたりする。えへへ
今日も、いつもみたいに砂浜を歩く
ふと前を見ると、君が歩いてる
いつもは誰もいないはずなのにな
君もこちらに気が付く
「はじめまして」
声かけられるとは思ってなかったから狼狽えてしまった
話をすると、君はいつも此処に居るという
知らなかった
ふと周りを見渡すと、たくさんの人がいた
「皆小瓶を集めてるんです」
と、君は言う
「小瓶のお返事を流したり、自分で書いてお返事を待ってみたり」
今までにもこんなたくさんの人が居ただろうか
「皆、小瓶を探して歩いて来るうちにここに集まるんです」
そうなんだ、でも何故だろう?
「ここの砂浜にはなぜかたくさんの小瓶が流れ着くんです」
「それを求めてたくさんの人がやってくる」
確かに、小瓶で溢れかえってる
近くにあった小瓶を拾う
その小瓶は脆くて、儚くて、そして美しかった
中身は大量の塩水
小瓶を洗って、干して、自分なりのお返事を書いて、そしてまた海に流す
君も同じようなことをやっていた
いつの間にか日が暮れる
だけど皆は帰らない
「ずっとお返事を待っている人がいるんです」
「その人の小瓶を置いてなんて帰れない」
ああ、そういうことか
僕が今まで砂浜に通い続けていたのにはこういう理由があったんだ
ふと前を見ると、見覚えのある懐かしい小瓶があった
拾って開けてみる
中から出てきたのは、多くのお返事だった
あれ、開けちゃダメなやつかな
取り敢えず読んでみるか
中から出てきたのは、昔の僕の手紙だった
ずっと死を願ってた僕。
そんな僕に対して、暖かいお返事がたくさん詰め込まれていた
夢中になって読んでいるうちに夜が更けていく
どんよりとした空の下に君と僕だけで。
はじかれるように頭を上げた
そんな僕を見て、君は僕に微笑んだ
「思い出した?」
君は悪戯っ子の顔で言う
いつの間にか満天の星空の下に変わりつつある空の下で、僕と君は見つめ合う
うん
思い出したよ
此処は、
この場所は、
僕の家だ。
今までの記憶が蘇る
最後に、と思ってこの手紙を書いた
誰にも届かずに終わったと思っていた
また裏切られたと思った
だから僕は、空を飛んだ
飛び降りる前の記憶も取り戻した
僕は泣いていた
「泣かないでよ」
「ねえ、」
“おかえり”
君は少し泣きながらそういった
いつの間にか朝日が昇る
水面に日の光が反射して輝く
たくさんの人たちが砂浜に集まる
皆に向けて、僕は告げる
“ただいま”
152796通目の宛名のないメール
お返事が届いています
瑛玲
これすきすぎて何回も読んで何回も泣いてる
言葉選びも大好きだし素敵すぎるよ
ほんとに俺よるのこと自体大好きだな
夢乃アリス
素敵。
よるくん、大好きだよ。
やばい、泣きそう…w
ガーゼ
めっちゃ泣いた。
ごめん今ボロ泣きで語彙力無いからこれしか言えないけど、
めっちゃ感動した。
やばい涙止まらないんだけど(笑)
名前のない小瓶
なんかめっちゃせつないようなかっこいいような暗いような明るいような吸い込まれそうになるお話だった‼︎
語彙力終わってるのはごめん
名前のない小瓶
保存失礼します。
読んでて、ますますここに出逢えてよかった、って思えた。
素敵な小瓶をありがとう。
麻未
素敵な小瓶をありがとう、
姫緒*kio
保存させていただきました
本当にここは家よりも心地がいいよね
ガル
よるさんお久しぶりです。
ガルです。
めっちゃ素敵な物語だった…!
鳥肌立っちゃった(笑)
物語、きっと俺らの気持ちそのままです。
例えば
「ずっとお返事を待ってる人がいるんです」
とか
「その小瓶を置いてなんて帰れない」
とか
宛メイトの優しさが言葉になってて
めっちゃ素敵だった。
言葉になってて、あぁ…やっぱ宛メって宛メイト皆で1つになってできてるんだなぁ…って思った。
よるさんのこのお話に全部がぎゅって詰め込まれてる感じがした…!
俺が思ったこともっともっといっぱいあるけど
言葉にするのが難しいからこの辺で終わっとくね。
よるさん、いつもありがとう!
P.S これからはよるって呼んでもいいかな…?よければそう呼ばさして欲しい!
以下はまだお返事がない小瓶です。
お返事をしていただけると小瓶主さんはとてもうれしいと思います。