昼くらいに帰ってきた旦那様。
帰ってくるなり、一言。
「まただよ」
「またですか」
と返す。
ふと、父の友達に『また』さんと言う方がいて、父が仕事で電話をかけることがあるたび、
「またか?」
「またです」
と言う会話が、半笑いで繰り返された。
…と言うことを思い出したが、一旦保留して、旦那様の話に耳を傾けた。
あんさぁ(あのさぁ)
夜行バス出発前に、ちゃんといるか人数数えるじゃん?
前から見たら見えないから、後ろまで行くじゃん?
そしたら、必ず後ろの方に座っている女の子が、
『近づかないでよっ!』
って睨んでくるんだよ。
俺もさ、何かしようと近づく訳じゃないし、
何かする気もないし、
だいたい俺、仕事中だし。
ちゃんと人数いないと大変なことになるし、
もしさ、サービスエリアとかで女の子置いて行ったらさ、どんな目に遭うか分からねーし…
うちのバスさ、
普通のバスを夜行バスで使っているじゃん?
だから、カーテンとかないし。
だから、隠せないじゃん?
それが問題なんだろうけどさ、
でもさ、
毎回毎回、そんなふうに、違う客だけど、睨まれたら、俺、落ち込むよ………
と大きな大きな溜め息。
旦那様は温和な顔立ちで、温和な性格で、運転手仲間からも、お客様からも『いい運転手さん』で有名で、旦那様の友達、その奥さんからも、
「あいつが間違いをおかすことは、天と地がひっくりがえっても有り得ない」
と言われるような人なんですが…
(結婚したから、ひいき目で見ているかもしれませんが…)
なので。
どうかどうか。
夜行バスに乗る、お嬢様方。
点呼のために近づいてくる運転手さんを睨まずにいてください。
運転手さん達は皆さんの安全のために頑張ってます。
それをご理解の上、宜しくお願い致します。