夏だ
最も自らを見失う季節であり
全てを放棄し、どこか遠くに行けそうな季節である
つまりは行動力に満ち溢れ
どうにかして新たな景色を見たくなる
どうやらそんな季節のようだ
私はそのようなことは年中ないのだが
私には私の手を引き
無理にでも足掻き走り出す“友”と呼ばれる人がいる
彼女はいつしか随分と遠くへ進んでしまったようで微笑ましい限りだ
いつしか羨ましいという感情すらも失った私からすると少し寂しい
いつまで彼女は私の側で笑っていてくれるのだろうか、そんな不安さえある
何せ私の人生における唯一のガス灯なのだ
彼女といると私は少し考えさせられる
充実とは何か
幸せとは何か
延いては人生とは何か
私とは何か、どうあるべきかである
生きる上でこの世の中が最悪であり地獄であることは承知の事実なのであるが、その中で自分はどう生きるべきかを常日頃考えている様な人間なのだ
どう行動することが最適解か
何を好み、何を頭に詰め込むことが重要なのか
私はどこへ向かうべきなのか
死が最終着地であるとこは明快だが
それは物理的なことであり
精神的にはそこが最後ではない
むしろもっと手前
見える気がするほど近くにその終着地は存在する気がする
私は、1人ではきっと歩いて行けないだろう
例えばきた道を振り返り
先程までいた場所から進んだ距離を理解するように
私は“先程までいた場所”である
彼女が振り返り、私との成長の距離をみて
自身の進歩を自覚できるかもしれない
それほどに私は変わらずあの子を愛している
自信はない
私は退化する一方だ
だがしかし
気づかず、否、気づいていないフリかもしれない
それでも彼女は私を捨てず引き摺ってくれる
私は生きねばならない
彼女に一緒に死なないか、
とそう問われるまでかもしれない
彼女がこの世のみならず、自らの時間全てを手放したくなった時、私は真にこの世界に絶望し共に別れを告げよう
そしてこれはきっと依存なのだろう
いつしかあなたが世界に置き換わった
今まで縋った世界を否定し
地獄が暗闇に変わり
そしてあなたがガス灯になった
この恩義を決して私は返さないだろう
きっとそれはあなたが期待しないせいだ。