嫌な夢を見たので
吐かせていただきます。
ドーム状で見たことのない
黒い建物の中にいる。
しかしそこが学校の
体育館であると認識している。
その体育館の中で、
私は友達を殺そうとしている。
その友達は異性でこそあるけれど
親友で、大事な人。
だけど私は殺そうとしている。
私のポケットにはカッターが
何本か入っていて、
腰にはモンスターボールくらいの
大きさの爆弾のようなものが
引っ提げられている。
絞殺、斬殺、爆殺のどれかで
私は彼を殺そうとする。
こんなもの夢だ、
早く覚めろ、殺すなと
何度も思うけど
体は勝手に動いていく。
ただ、傷ひとつつけるたびに
少しの時間だけ体の自由がきいて、
その間泣きながら謝り続ける。
「そんなに俺って要らない?」
夢の中の彼は
頬の少し下の切り傷や
手の甲の傷から血を流しながら
私に無表情でそう問う。
そんなわけがない、違う、
これは私の意思じゃないと
泣き叫びながら
私の体は勝手に爆弾に火をつけ、
彼のいる方向に投げる。
くるくると回転ができる形の
椅子に座った状態で、
火傷と切り傷と痣だらけで
彼はぐったりとしている。
違うとごめんなさいを
呪文のように繰り返しながら、
ふらふらと彼に歩み寄り
手にしていたカッターを捨てて
抱きしめた。
「俺は要るの?」
先ほどと同じような声色で
彼は私にそう聞いた。
答える前に目が覚めて、
殺される夢の方が
よっぽどマシだなと思った。