遠くに遠くに行きたい。
綺麗な景色が見たい。
現実から逃げたい。
やらなきゃいけないことも
家の事も学校の事も
自分の事も他人の事も
なんにも考えなくていいような。
木漏れ日の差す針葉樹の知らない森。
月明かりが照らすどこか遠くの砂浜。
蛍が飛び廻る透き通った宵時の川。
時間も将来も明日のことも
全部忘れて宛もなく歩いて、
疲れたら座ってぼーっとして。
いつか歩き尽くしたら誰にも知られずに
遠くの遠くの海でさよならしたい。
その後は誰もいなかったみたいに
静まり返る海を空から見て、
さっきまでそこに居たはずの
生前の自分がくだらなくなって、
笑っちゃうかもしれない。
こんな幸せさえ叶えばなぁ。