おかしいな。
こんなはずではなかった。
やっと苦しみから解放されて嬉しいはずなのにな。
私はバレー部に所属してもう2年になる。
次はいよいよ夏の大会が迫っている。
この部活は怖いと有名な先生がいた。
その先生のせいで私たちはいつも理不尽に怒られていた。
こう言っては悪いけど、
時代が「昭和」すぎる指導であった。
厳しい。苦しい。辛い。辞めたい。逃げたい。
1年生のときはグルグルと頭の中にその言葉が回っていた。
けど、今、2年の最後までやってきた。
今更、逃げるなんてこと出来ない。
そして、逃げる必要なんてなくなってしまった。
何故ならば、先生が移動になったのだ。
夏の大会に先生は居ない。
嬉しさでいっぱいだった。
いっぱいになるはずだった。
今は悲しさと苦しさをズルズルと引きずっている。
「夏の大会に先生は居ない。」
何故だか分からないが、とても嫌だ。
とてつもなく嫌だ。
「都大会を目指します。」
と私の口から伝えた。
正直、本気で行こうとする気はなかったけど、
先生はそのために色んなことを私たちに指導した。
辛かったな。嫌だったな。
やる気がないのは私だけのようだった。
でも、その中でも先生はたまに面白いことを言ったり、楽しい瞬間だってあった。
先生の苦しい時間より、先生との楽しい瞬間がなくなってしまうのが嫌だ。
部活をしても、給料が上がるわけじゃない。
ただのボランティア。
なのにここまでしてくれた先生に感謝しかない。
私に叫ぶ場所なんてないからここで叫ぶよ。
先生の事嫌いじゃないから、先生の苦しい練習だって受けるから、どうか。
もう1年だけいて欲しかったな。