大学新2年。春休み、まるまるひと月帰省して、一ヶ月ぶりの寮生活。一人暮らし、久しぶりのホームシック。
実家から、高速バスで10時間。住んでいるところはそんなに景色は変わらないけど、都会。やりたいことがあったからその大学を選んだ。後悔はしてない。
いやちょっとしてるかも。べつにここじゃなくてもできたことが、8割くらい。でも大学は好き。
大学を卒業したら地元で働くと決めている。
地元に友達がいるわけじゃないから、春休み、ほとんど丸ひと月家にいた。平日家にいても1人でいることは多くない。家にいて、趣味とか勉強したり、親とテレビ見たり漫画読んだり、ずっとだらだら春休みを満喫してた。
お皿を洗ったり、洗濯物を畳んだり、料理したり、一人暮らしではめんどくさい家事も、実家でやるのは好き。
ちょうど去年、一人暮らし始めたばかりの頃は、1週間くらい夜中泣きっぱなしだった。YouTubeを垂れ流してないと涙が止まらなかった。1人でこれから四年間も生活するなんて耐えられないと思った。
でもだんだん慣れてくる。自分が夢のまた夢みたいな大都会に身を置いていることすら忘れて、ただただ普通に、淡々と生活する日々が待ってる。徹夜したり、夜中にアイスを買いに行ったり、一人暮らしを満喫したりもする。
でも長い帰省から戻るとやっぱり最初はさみしい。今日気づいたことがある。寮の廊下に出て歩いていたとき、すごく嫌な匂いがした。寮の匂い。ちょうど1年前、ここで生活し始めてすぐのときに、孤独を感じながら生活していたときに嗅いでいたのと同じ匂い。鼻が慣れて忘れていた。孤独の匂い。
いつまでも泣いていられない。数日経てば慣れるだろうし、もしかしたら明日にはもう慣れてるかもしれない。でも寂しくて、どうしようもなかった。初日。