すこしみんなと違う知り合いがいる。
しっかりしてるけど、闇がありそうな子。
やっぱり色々抱えてた。
助けたくて、仲良くなった。
その子は、過去にストレスを抱えすぎた影響で記憶が翌日にはほぼ消える。
人の名前も、話した内容も、学校の授業だって、忘れる。
しっかりメモを取ってから寝るらしい。
その子に、言いたいことがある。
「あのとき、そばにいてくれてありがとう」って。
もちろんいってもあなたは覚えていないことは知ってる。
もう、あなたと話せないから。思ってるだけだけど。
トラウマを思い出して、私は震えていた。
あの子は震えている私の手を握ってくれた。
こんなことされたことなかったから驚いたけど嬉しかった。
震えが止まるまでそばにいると言ってくれた。
「あなたは悪くない」
と言ってくれた。
もう、お礼は言えない。
だって。
あなたはしっかりものじゃなかったね。
私のことを、メモに書き忘れたんだよね、きっと。
ある日から、来てくれなくなった。
自分から行くと、「ん?〇〇さん、どうしたの?なにか用事あった?」って聞いたもんね。
絵里って呼ばなかった。
悲しくて、「ううん、なにもないよ。ごめんね、〇〇さん」ってかえした。
それから下の名前では、呼ばなくなった。
わかってた。私からしたら数少ない友人の一人だけど、あなたからしたらたくさんの中の一人だと。
だから、私のことをメモし忘れたんだよね?
でも、一回だけぼそっと「絵里……」って声かけてくれたよね。
あれ、嬉しかった。もしかして、覚えてたのかなって。もちろん違うっていうのは分かってるけど。
何もできないまま、あなたのそばを離れて、ごめんね。
もう、話すことはなくなったけど、私はずっと覚えてるから。
あなたと過ごした楽しい日々を。