僕の現在位置です
このところの家電の不調で、量販店をいくつか回ってたら、「おっ?」と目に留まったモノがあって。
まずは
こちらを見ていただければ。
(ブラクラではありませんよ!)
何の変哲もない、淡いブルーの洗濯機。
人の血が通っているわけでもないマシーン。
でも、僕はこれを店頭で目にしたときに、ものすごくリアルな体験をした。
時期にして生後6ヶ月ぐらいだろうか、まだ髪の毛も生え揃っていない赤ちゃんを抱っこしながら頬を寄せて、あのぐらいの乳児に特有の甘ったるい匂いを感じていたのだ。
「この感覚は何だ?」
これこそ病院で相談してみるのがいいだろうということで、先日主治医のところへ行った際、洗濯機の写真を見せながら訊いてみた。
「それは、いわゆる『シナスタジア』というやつです」
「シナスタジア、つまり共感覚でしょうか?」
「仰るとおりです、さすが僕の現在位置さんはすぐに和訳が出てきますね(笑)」
「ええ、まあ(笑)それで、私のシナスタジアにはどんな特徴があるんでしょうか?」
「実はシナスタジアは研究途上の分野で、僕自身もその専門ではないんですが、世界では150種類ぐらいの現象があると言われてまして」
「ほぅ……」
「この洗濯機を見た瞬間に『自分が赤ちゃんを抱いていて、その子が生後半年ぐらいだと考えられ、乳臭さのような匂いを感じた』と。そこには重量感、もっと言えばヒトの質量の感覚、柔肌の感触、まだ生え揃わない細い髪の毛と硬い頭蓋骨の触感の対比、そして乳児特有の匂いを捉える嗅覚があったわけですが、実際には子どもを抱っこしていない。これは “想像” とか “連想” といったものと似てるようで全く違っていて、シナスタジア、共感覚として区別されてるんですね。僕の現在位置さんの場合、視覚野から触覚と嗅覚への神経伝達が活発なのだと考えられます」
へぇ……。
共感覚って「特定の活字に色がついて見える」とか「音を聞くと香りを感じる」そういうものだと勝手に思ってた。
150種類か……もーっとたくさんあるんだね。
やっぱり、大脳が極端に発達したヒトという種だからこその現象なのかな?
それとも、うさぎ🐰やネコ🐱もこういうことを感じてるのかな?
「シナスタジアはどのぐらいの割合で見られる現象なんでしょうか?」
「研究成果によって幅がありますけど、200人から300人に1人いると言われますね。1,000人あたり5人とすれば率にして0.5%。こう言ってはナンですが、強迫性障害の生涯有病率が約2.5%ですから、その5分の1。ありふれたものとは言えないかなって所ですね」
「なるほど。こういう感覚とか脳神経の構造って、異常なんでしょうか?」
「脳神経の構造は先天性のものと後天性のもの、両方ありますし、僕の現在位置さんのようなニューロンの持ち方になる機序がそもそも解明されてない以上、まず治療の対象にはならないです。それは同じような現象を経験する他の方にも言えることで、学会でも『シナスタジアは疾患ではない』という見方です。今、生活に支障はないんですよね?」
「無いですね」
「なら、心配しなくて良いと思いますよ。まああえて呼び名をお渡しするとすれば『共感覚者』となるんでしょうけど、自称する場面もそう多くないでしょう。しかし、赤ちゃん可愛いですよね、ははは」
「そうですね、泣くと大変ですけど」
「共感覚者」か。
たしかに自分で言って回ってる人に会ったことはない。
それに、その必要もないだろう。
しかし自分の頭のことなのに、なんで今まで気づかなかったんだろうね? きっかけがお店で見かけた洗濯機とは。
人生、何が起こるかわからないな。
そんなわけで、この小瓶を拾ってくれた人の中で、
「似たような経験あるよ!」
「こんな話を聞いたよ!」
「実は自分も共感覚者なのだ!」
そんな経験談や知識などシェアしてくださる場合、お返事いただけると嬉しいです。
↓に掲載されるのはちょっと……という方がいらっしゃったら、僕の固定小瓶に「御意見箱」があるので、そちらへ投書していただければ僕にしか見えません。
🐰よろしくお願いいたします🐰ペコリ
♪if... (Tsutchie remix) / DA PUMP