「なっぱ!アレックス!」
村の外れにいたドラゴンは、
想像よりも大きいものだった。
この村トップクラスの力を持つ魔法使い2人が
苦戦するのも無理はないと思えるくらいには。
「ルジア、来てくれたのか!オト、ありがとう」
…お兄ちゃんに褒められた!
場に合わない笑みを浮かべるオトハ。
それを見たアレックスが叱責を飛ばす。
「オトハ!何笑ってるんですか!
そんな顔してる暇あったら加勢してください!」
「うるさいなー。わかってるっつーの」
横に目をやると、
ノアさんが困惑した表情をしていた。
「あの…ルジアちゃん、この人達は?」
「えーと、あの白衣着てる人が
アレクサンダー。略してアレックス。
緑と黒の髪の人が
オトハのお兄ちゃんのなっぱ。
たぶんあだ名だけど本名は知りません。
で、黒髪で剣持ってる子が
なっぱの妹のオトハ。略してオトです。」
…にしたって、魔法の鎖でドラゴンを
拘束しているなっぱが、もう限界そうだ。
オトハは…疲れてる。
アレックスの毒も何故か効いていない。
ノアさんは当てにならないし、
今まともに戦えるのは私だけか。
「ノアさん、死なないようにしててください。」
「死…⁉︎」
「一気に片付けます」
逃げ遅れそうなノアさんに忠告すると、
私は大剣を持ち直しドラゴンの方へ走った。
そのまま太くでウロコにおおわれた脚を
かけ上がると、ドラゴンの頭上へ跳び上がる。
「なっぱ、魔法解除」
「…⁉︎ わかった!」
案の定、鎖がが消えると
ドラゴンは上を向いて私に噛みつこうと…
(毒霧⁉︎)
せずに口から紫色の煙を吐いた。
それを軽く宙返りして避ける。
毒のドラゴンか。
こんならアレックスの強力な毒魔法が
効かないのも無理はない。
……まぁ、私には関係ないけど。
無防備にも大きく開かれた口に、
大剣の刃を滑り込ませた。
そして、刀身を振り抜き体を裂く。
生温かい液体が頬を汚し、
ドラゴンは地面に突っ伏して動かなくなった。
「討伐かんりょー」
パッと地面に降り立つと、
大きく見開いたノアさんの青い目がよく見えた。
「ルジア姐、すごーい!
私達が苦戦した大型ドラゴンを、
あんな簡単に倒しちゃうなんて!」
左右色違いの目をキラキラと導かせるオトハ。
なっぱの視線が痛い。
「またルジアに嫉妬ですかぁ?」
「んなことねぇし」
「君たち、喧嘩しないで」
あぁ、そうだ。
大事な事を思い出した。
「えーと、ノアさん。この剣なんですけど」
「あぁ、そうだ。忘れてた。」
ノアさんもかい。
「この剣、私の祖国で作られたものなんですよ」
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お久しぶりです。書き手です。
ほんっとうに久しぶりだし、
短剣の秘密明かされないという…
次が出るのは早いと思いますがね。
楽しみにしててください。
お返事は全部読むし、モチベになります!