家を出た。
リュックいっこを背負って。
もう帰らない、死ぬつもりで。
財布とスマホとイヤホン。
とても軽いリュック。
どこで?どうやって?
未定。
歩いて歩いて歩いた。
自然に足の向く方に歩いたら、
浅草に着いた。
ときどき来た街。
行く宛がないと、
知ってるとこに行っちゃうんだろうね。
足がクタクタ。
もう真夜中。
ゲーセンの地下の漫画喫茶。
個室でただ力なく横たわって、
泣いた。
翌朝、薬が欲しくなった。
薬を持ってこなかったことを
後悔した。
眠れなかった。
二日酔いのようなだるさ。
汗でベトベトの体。
お茶の水に行って、
薬を処方してもらおう。
家に帰らなくても
薬が調達できる。
病院はいつもの先生とは違った。
いつもの先生ならすぐなのに。
ちょっと面倒臭かったけど、
薬は処方してもらえた。
どこに行くかは決めてないけど、
新宿に向かった。
それが僕にとって
ごく自然な選択だった。
今日はここまで。