私生まれてきたくなかった。
今からでも終わらせたい。苦しみから逃れるために自ら苦しみに行く勇気は残念ながらなかった。その自分がきらい。
人間がきらい。生物がきらい。欲望のために他者を殴って勝利してきた者の遺伝子が、この世にいる生物のすべて。私もそう。
歴史を勉強すればどの時代や地域を切り取ってもいつも支配してる。拷問してる。卑怯なことしてる。
平和になったら必ず腐敗して、弱者が正しい意見を戦争で勝ち取ったらまた腐敗する。だから苦しめられたままでもつらいし、苦しみから脱却しても誰かが苦しむだけ。
自分が勝者になることは、敗北者を生むこと。私にはどっちも耐えられない。なんだこの世の中。
私はこんな世の中に、絶対かわいいはずの我が子を生み落としたくないから、子供をつくりたくない。
まだ作れる年齢だから決断するのが正直こわい。後で後悔するのかなと思うとこわい。
それって人生の退屈を埋めるため、人の人生を見て楽しませてもらうため、何か成し遂げる材料にするために子供を生もうとしてることになんとなく気づいてる。それも自分が嫌いな理由で、自分もそういう意味で生まれてきたのだと思っていて、そんなことを全部ひっくるめてすごく自分が嫌い。
誰が私に清く正しく美しく生きることを植え付けたの?私が罪悪感に押しつぶされてこの世を辞したら、罪悪感を覚えない人がなんの疑問もなく子孫繁栄するんだ?そしたらそこに取り残された私の遺伝子は苦しむよね。
かわいそうな子供を生む前に私は頑張ってこの世を耐えて、苦しみの連鎖を断ちたい。