「私が、一番あなたのことを知ってる。」
「私が一番、あなたを思っている。」
「私が一番、あなたを見てきた。」
違うだろ。
少し、勘違いしてないか?
お前は、そのつもりでも実際は「見ているつもり」なんだよ。
シングルマザーで仕事が忙しいのも、子供ながらに十分承知していたから、我儘はあまり言わないようにしてた。
授業参観だって「別にいい」って興味ないふりしてた。
おばあちゃんに、嫌なことされてても心配かけたくないから言わないようにしてた。
どうせ、家にいないからバレないけど、門限はきちんと守るようにしてた。
いつものように、祖父母の家に連れて行かれても、我慢してた。自分は小さいから、一人じゃ何もできない。しょうがないことって。
なのに、急に男を家に連れてきて、「彼氏ができたよ」って言われた。
すごい嬉しそうだったから、俺も嬉しかった。
だから、俺たちよりも彼氏を優先しても仕方のないことって思ってた。
その彼氏が綺麗好きだから、その彼氏が来る前に家を大掃除したりして、協力した。
寝るときは、俺たちと寝るんじゃなくて、彼氏とセックスするために別々の部屋に寝させられて、彼氏がいないときは、また祖父母の家に連れて行かれて。
また、おばあちゃんに色々されて。
でも、しょうがないことなんだろ?
「シングルマザーで、仕事が忙しい」「子供2人抱えてよくやっている。」結局はそこにたどり着くんだから。
でも、俺は我儘でクズなやつだから「あなたのことを一番よく分かっている」とか言われても、感動もなにもないね。苛立ちしかないさ。
俺が、大事な話をしても聞かない。そのうえ、自分の話しかしない。
でも、しょうがないんだろ?
だって、聞いてくれる人が俺たちしかいないんだもんな。
頼みごとを失敗したら、殴られて、そのあとハグされて。「死ね」って怒り狂った声で言われても、そのあと「本心じゃないの。嘘なの。」っていいながらハグして。
その言動で、傷ついていても謝って温かいハグをしてくれる。いつの間にか、それが一番の愛情表現なんじゃないかって勘違いしてた時もあった。けど、周りは殴られことも「死ね」って言われたこともないらしくて、自分は周りと違うことに気づいた。
殴ったり、暴言吐いたりすることはいけないことって分かっても結局はしょうがないって変換した。だって、子育てを一人でしてるんだから、苛ついて当たっちゃってもしょうがないもんね。むしろ、間違えちゃう俺たちが悪いもんね。
全部、しょうがないんだろ。